コロナ禍と賃貸物件(無理なご要望、賃料滞納、ネット環境)

春先になると賃貸物件を探される方が増えます。コロナ禍であることから、賃貸物件に関して配慮を要する事項が増えています。

1.新型コロナウイルス感染症を恐れるお客様の要望
賃貸物件を探す目的で来店されるお客様から、対応が極めて困難な要望を受けることがあります。

・同じ建物内に、新型コロナウイルス感染症に罹ったことがある人が入居していない物件を探したい
・医療関係に従事する方、介護施設の職員、学校の先生が入居していない物件を探して欲しい
・運送会社の配達員、公共交通機関の運転士や車掌が入居していない物件を探して欲しい

感染を恐れているのでしょうが、行き過ぎではないかと思います。引越した時点では同じ建物内にコロナウイルス感染症に罹った入居者がいなくても、1週間後には感染者が発生しているかもしれません。感染者が発生するかは誰にも予想できません。

「紹介された物件の他室で感染者が発生したから賃貸借契約を解約したい。さらに仲介手数料を返還を求める。引っ越し代も負担して欲しい。」等の無茶ぶりを発揮されるお客様が現れそうな気配があります。

同じ建物内に新型コロナウイルス感染症に罹ったことがある人が入居しているかは、重要事項説明における説明事項ではありません。それにオーナーにいちいち確認することは困難です。仮に確認した場合には「そこまで心配症で、口うるさい人の入居はお断りします。」と言われることが自明です。

また、同じ建物に入居している方の職業は個人情報なので、賃貸物件を探している方にお教えすることは認められていません。不動産会社がお尋ねしても、回答を拒むオーナーおよび管理会社が大半です。

これらのご要望をされる方は、賃貸用の戸建住宅をお借りいただくしかありません。しかし、都区内の賃貸用戸建住宅は数が少ないこともあり、賃料は高額です。2DKの戸建の場合、月賃料20万円を超える物件が多いです。

2.賃料を滞納する賃借人がじわじわ増加している
特に飲食店、小売店に勤務している方が失業しています。現状のコロナ禍では、新しい勤め先を見つけることは極めて困難です。

雇用保険を利用できる場合でも、給付を受けられる期間に限りがあります。期間を経過する前に新しい勤め先を見つけられないと収入がなくなり、家賃の滞納につながります。

現在のコロナ禍は、オーナーにおいても一大事です。退去してもらいたいと思っても、失業しているのでは転居先が見つかりません。

明け渡しを求める訴訟(明け渡し請求)を裁判所に提起しても、明け渡しを受けられる迄には半年以上かかります。地域により、1年近くを要するかもしれません。昨年の緊急事態宣言以降、裁判所の裁判手続きがかなり遅延しているからです。

このため、賃借人から賃料の一時的な値下げを提案された場合には応じるしかないかもしれません。不動産会社としては、オーナーにこのあたりを丁寧に説明する必要が生じています。

また、賃借人には地方自治体による緊急小口資金の貸付制度がある旨を説明し、滞納を避けるようにアドバイスする必要が生じています。

3.インターネット環境にこだわる方が急増
緊急事態宣言が発出されたことから在宅勤務の要請があります。東京都では全従業員の7割を在宅勤務にするように要請されています。このため、光回線が導入されている物件に対する需要が増えています。

既存の鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造の建物に光回線を導入するのは容易ではないことが多いです。今後、光回線未対応の物件における入居希望者は激減すると思われます。賃貸物件で光回線を利用できることは必須になります。

ケーブルテレビで対応している物件がありますが、アクセスが集中した際に回線速度が低下する恐れがあります。高速回線を利用するためには戸建住宅が最適なので、賃貸用戸建住宅の需要が増えると思われます。