広域連続強盗事件、オーナー様に求められる対策

 広域連続事件に関する報道が連日行われています。被害に遭ったのは主に戸建住宅や店舗です。このことから「これからは戸建住宅は危険。マンションであれば安全。」という内容の報道やWEB記事が散見されます。

 しかし、筆者が思うに「マンションであれば安全」ということはありません。マンションでもオートロックの外にあるインターホンから「宅配便です」と告げられたら多くの場合に招き入れるでしょう。オートロックを通過した者が部屋の入り口に来るまでの間に「賊」であることに気付くことはほとんどないと思われます。

 今後懸念されるのは賃貸物件における犯行です。家賃が高額なハイグレードの賃貸物件に入居している方が狙われる恐れがあります。

 賃貸物件では入居者が入れ替わります。以前の入居者が多額の現金を室内に保管していると、最近入居したばかりの方が間違えられて襲撃される恐れがあります。

 怖いのは、最近入居したばかりの方が「部屋にお金はない」と告げた場合、直ちに殺傷される恐れがあることです。実行犯は相当に強く指示役から脅迫され、さらに金銭に窮していることから後先を全く考えずに犯行に及んでいる感があります。

 今回の広域連続強盗犯は資産状況、居住者の性別と年齢、居住者の人数などを調べてから侵入しているようです。しかし、今後は模倣犯の出現が危惧されています。全く安心出来ません。

収益用不動産(特にマンション)のオーナー様に求められる対策

●宅配ロッカーの新設または増設
 宅配ロッカーの設置が重要です。すでに宅配ロッカーがある物件でもロッカーの数が足りないところが多いようです。この場合は増設する必要があります。

 そして入居者に対しては宅配便や通販で購入した物品をなるべく「置き配」指定で配送してもらうように啓蒙します。

●宅配便の荷物を受け取る際は、時間指定をするように入居者を啓蒙する
 宅配ロッカーには入らない大きい荷物や冷凍食品の場合は「置き配」の指定ができません。対面で配達してもらう必要がありますが、この場合は配達日時を指定するように入居者を啓蒙することが有効と思われます。

 指定していない日時に配達員が来訪した場合は一切応対しないことが身の安全を守ることに繋がります。来訪者が配達員であり、荷物を持参していた場合は不在配達票が郵便受け等に投函されます。これに基づき再配達の日時を指定して再配達してもらうように入居者を啓蒙します。

●暗証番号式のオートロックを採用している物件では、カギ(またはICカード)式に替える
 暗証番号式のオートロックを採用している場合、入居者が宅配便業者や宅配ピザ店等に暗証番号を教えていることがよくあります。「部屋の前に置き配をして欲しい」という理由で暗証番号を安易に教えてしまう事案が数多くあります。

 これは大変に危険な行為なので、直ちに止めさせなければなりません。暗証番号を知った「賊」がオートロックを解錠して侵入し、お部屋の入り口ドアをノックして開けさせるパターンが想定されるからです。

 オートロックを通過して建物内に入っている方に対しては警戒が緩む傾向があります。「管理会社の者です」等と言われた場合に、入居者がお部屋のドアを開けてしまうことが想定されます。

 部屋の前に置き配してもらうのではなく、宅配ロッカーに入れてもらうことをお願いすることが必要です。

 「部屋の前に置き配をしてもらう。そのためにオートロックの暗証番号を教えて何が悪い。」と開き直る入居者がたまにいます。

 このような主張を展開させないためには、暗証番号式のオートロックをカギ式(又はICカード式)に替えることが有効です。費用の問題などで直ちに対応出来ない場合は宅配ロッカーの数を充実させ、納得してもらうことをお勧めします。