低廉な空き家における仲介手数料が変わります

 ご承知の通り、人口の減少などに起因する空き家問題が深刻です。特に郊外では戸建住宅の空き家がかなり増えています。

 空き家が増えている理由の一つは、なかなか売却出来ない物件が多いことにあります。リフォーム後に賃貸住宅に転用できる物件であれば、個人投資家向けに売却することを期待できます。しかし、交通が不便なエリアにある、または朽廃しつつある戸建住宅は、価格を下げても買い手がなかなか見つかりません。

 価格が安い物件を仲介しても、仲介手数料の上限は物件の取引価格に基づき算出されます。このため、価格が低廉な空き家の売買仲介は採算が合わないとして仲介したがらない不動産会社が多いのが現状です。

 宅建業法(宅地建物取引業法)および政令が規定する売買仲介手数料の上限(消費税込)は、平成30年(2018年)まで以下の通りでした。

★売主、買主共通
価格200万円以下:物件価格の5.5%
価格200万円超400万円以下:物件価格の4.4%に22,000円を加算した金額
価格400万円超:物件価格の3.3%に66,000円を加算した金額

 郊外にある200万円の住宅を売買する場合の仲介手数料は11万円にしかなりません。これでは金額が安すぎるため、郊外の低廉な空き家における仲介を断る不動産会社が数多くありました。問題があるということで、平成30年4月1日から以下のように変更されました(金額は消費税込)。

★売主
価格400万円以下:198,000円(物件調査費等を含む)
価格400万円超:物件価格の3.3%に66,000円を加算した金額


★買主
価格200万円以下:物件価格の5.5%
価格200万円超400万円以下:物件価格の4.4%に22,000円を加算した金額
価格400万円超:物件価格の3.3%に66,000円を加算した金額

 しかし、これでも不動産仲介会社が受領できる仲介手数料が少ないため、積極的に売買仲介を引き受けない問題は解決されませんでした。このため、更に改訂が検討されています。
 パブリックコメントにより金額が変更される可能性がありますが、大筋として以下の通りになると思われます(消費税込)。

★売主
価格800万円以下:330,000円(物件調査費等を含む)
価格800万円超:物件価格の3.3%に66,000円を加算した金額

★買主
価格200万円以下:物件価格の5.5%
価格200万円超400万円以下:物件価格の4.4%に22,000円を加算した金額
価格400万円超:物件価格の3.3%に66,000円を加算した金額

 長期間空き家である物件の賃貸仲介を行う際の仲介手数料も変更されるとのことです(消費税込)。概ね以下の通りになると思われますが、パブリックコメントにより金額が変更される場合があります。

★借主
事業用は賃料1.1か月以内、居住用は賃料0.55か月分以内

★貸主
賃料の2.2か月分以内

 パブリックコメントは5月31日迄受け付け、令和6年7月1日からの施行が予定されています。