不安を煽る動画が原因で住宅需要が激減している?

 最近、テレビを見なくなりYouTubeやTikTok動画ばかりを見ている方が増えているようです。特にコロナ禍が終息を迎えた約1年前から顕著な感があります。何故テレビが嫌われたかですが、いわゆる「不安」を煽る内容が多過ぎたからではないかと考えています。これはあくまでも筆者の私見です。

 新型コロナウイルス感染症が蔓延し、報道は新型コロナに関する内容ばかりになりました。「○○県における昨日の死者は△△名、全国では□□名の方がお亡くなりになりました。」という内容の報道が毎日行われました。

 「飲食店の夜間営業は許されない」、「集客イベントは中止しろ」、「常にマスクを着けろ」、「ワクチンパスポートを導入するべき」、「東京の者は地方に来るな」、「新型コロナウイルスは恐怖のウイルスである」等、これでもかと思うくらいに視聴者を怖がらせる報道が続きました。

 新型コロナが終息する迄の約3年間、視聴者を怖がらせる内容の報道がしつこく繰り返されました。このためにテレビが飽きられ、視聴者が減少したのではないかと考えています。

 テレビに代わり、YouTube動画やTikTok動画がよく見られるようになりました。これらの動画では再生回数が多ければ多額の広告収入を得られるシステムになっています。このため、最近はテレビに増して視聴者を怖がらせる動画が増えています。

 具体的には南海トラフ大地震、富士山や阿蘇山の大噴火、2025年7月に太平洋で起きる海底の大爆発と巨大津波を内容とする動画です。「そう遠くないうちに、これらの災害が起きる」とする動画がもの凄く多くアップされています。

 現在、軽井沢などの高地にある寄宿舎または休業中の宿泊施設をすぐに購入したいという相談が、富裕層の方から複数あります。南海トラフ大地震および大津波による災害を避けたいので、家族や親戚等の数十名が共同で生活できる物件が欲しいというものです。恐怖を煽る動画に強く影響されているのでしょう。

 最近、新築戸建住宅、区分マンションの売れ行きが低迷しています。特に今年になってから顕著です。あくまでも筆者の私見ですが、原因は資材価格の高騰だけではなく、恐怖を煽る動画の激増にもあると考えています。「本当はすぐに住宅を購入したいが、念のためにしばらく待とう。」と考える方が増え、これが売れ行きを低迷させている原因の一つではないかと考えています。

 恐怖を煽る動画の多くは、最後に「日頃から災害の備えをしておくことが重要です」等と述べて終わるものが多く、無責任です。投稿者は恐怖を煽り、再生回数を増やすことにより広告収入を得たいだけです。

 現在の科学的知見では、大地震や火山の噴火がいつ発生するかを事前に予見することはできないとされています。また、2025年7月の海底爆発と大津波は、ある漫画家の方が夢で見た内容(予知夢)とのことであり、科学的根拠は何もありません。

 仮にこの漫画に描かれている規模の海底爆発と大津波が発生したら、隕石が恐竜を絶滅させた事件の再来になります。世界のどこに行っても生存できる可能性はほぼゼロです。大津波および大地震が地球全体で何ヶ月も続き、世界中の活火山が大噴火します。その結果、極度の日照不足と気温の低下が何年も続き、作物を栽培できなくなります。食料がなくなるので飢餓が全人類を襲い、最終的に人類は滅亡します。

 再生回数を増やして広告収入を得ることを目的とした「不安を煽る動画」に惑わされ、住宅の購入を諦めるのは得策ではないように思います。