来年の不動産価格はどのように推移するか

来年の不動産価格を予想して欲しいとの問合せがあります。予想はとても難しいですが、新型コロナウイルスによる感染状況が現時点(12月30日)における状況のままで推移すると仮定して書きます。

あくまでも筆者による個人的な予想であり、必ずしもこの通りになるとは限らないことについて予めお断りしておきます。

2021年の前半は値下がり傾向
2021年前半は、景況感が更に悪化します。コロナ禍になる前は不動産の購入を検討していた方が失業する、または賃金カットをされることにより購入意欲がなくなります。このため、不動産を売り出してもなかなか売れない状況になることが想定され、早期の売却をするためには値下げをするしかなくなります。

先日の投稿に書いた通り、売り物件の数が減少しています。これは買い替え需要が極めて低迷していることによるものと考えられます。

売り物件の数が少なくなれば値上がりするように思えますが、購入を検討されている方の多くがコロナ禍によるダメージのために購入を諦める状況ですから、値上がりすることはないと考えています。ただし、都心の一等地や再開発が計画されている場所は、例外的に値上がりすることが考えられます。投資家の方から見た場合、有望な投資先が見つからないので、とりあえず都心の一等地を購入しておこうという思惑があるようです。

住宅ローンの返済が困難になる方が確実に増えますので、先日の投稿に記載したとおり、不動産買い取り業者が任意売却で購入する中古物件が徐々に増加すると思われます。その数が多くなると、値下がりの原因になります。

2021年後半は徐々に値上がりするか
楽天的かもしれませんが、新型コロナウイルス感染症が収束すれば経済活動は活発になります。少なくとも雇用面の不安がなくなれば不動産の購入を検討される方が増え、これに伴い不動産価格は上昇すると思われます。

東京オリンピックが開催されることにより株価が上昇し、投資活動が活発になります。不動産投資にも資金が行き渡ることから、収益用物件が売れるようになります。

新型コロナウイルス感染症が収束せず、緊急事態宣言が発令された場合
絶対にあってはならないと思いますが、緊急事態宣言が再び発令される事態になれば、どの不動産会社でも不動産の内見を取りやめにするしかなく、不動産の販売活動を停止するしかなくなります。ローンを利用したくても、金融機関は審査を止めてしまう恐れがあります。このため不動産売買の契約件数は大幅に減ることが容易に想定されます。

このような状況になった場合に不動産を購入できるのは不動産価格の全額を現金一括で決済できるところだけになります。大半の不動産は売れ残り、価格が暴落する可能性があります。

また、万が一、東京オリンピックの開催が中止になれば、株価が暴落して投資意欲が減退します。景況感が悪化し、解雇や賃金カットになるので不動産の購入希望者が激減し、不動産価格は大幅に下がります。