消費税率が大幅にアップしたら住宅家賃も課税対象?

 前回の投稿において、消費税率が13~15%以上になると運営が破綻する賃貸住宅が激増する恐れがあることを書きました。

 現在、住宅の家賃および管理費に対する消費税は非課税とされています。このため、オーナー様は賃貸住宅の維持費、管理委託費等にかかる消費税を全額負担しています。

 財界人が要望するように消費税率を15%以上に上げるとエレベーターのメンテナンスを怠る、大規模修繕を先送りにする等が頻発します。管理会社がオーナー様に設備の修繕を推奨しても放置され、賃借人が死傷する事故の原因になる恐れがあります。

 現在のところ、これを避ける為には家賃を値上げするしかありません。しかし、家賃を値上げすると賃借人の反発が避けられません。それに家賃には相場があり、これを逸脱することは出来ません。また、家賃の値上げにより賃借人が退去する恐れがあります。賃借人の退去を恐れるオーナー様は、容易に家賃を値上げできない状況に置かれています。

 これから述べることは『現実的ではない』とか『あり得ない』と思われる方が多いと思います。そしてほとんどの方が『反対』されると思います。

 消費税率の引き上げによりオーナー様の経済的破綻を避ける為には、住宅家賃に対する消費税の課税が必要です。ただし、設備の維持費や管理委託費に係る消費税を、家賃に伴う消費税から差し引くために、オーナー様には課税業者になっていただく必要があります。

 オーナー様が「家賃に消費税が課税されることになったので、今後は消費税を追加でいただきます。」と説明した場合、賃借人は従うしかありません。その結果、多くの賃借人は経済的に困窮します。消費税の上乗せに耐えられない賃借人は退去し、家賃が安い物件に転居するでしょう。

 「住宅の家賃に消費税が課せられることはあり得ない」とお考えの方が多いと思います。しかし、竹下内閣が消費税を導入した当初(1989年)、住宅家賃は消費税の課税対象でした。その後、非課税にする措置が執られています。課税対象であった過去があるので、今後も家賃の非課税措置が続く保証はありません。

 「消費税率をドンドン上げるべき」と主張する方が、主に財界人にいらっしゃいます。しかし、税率を大きく上げる場合は住宅家賃に対し消費税を課税しないとオーナー様の多くが経済的に破綻します。

 非課税のままだとオーナー様が破産し、賃貸住宅から追い出される賃借人が激増して深刻な社会不安を招きます。消費税率を大幅にアップさせる場合、住宅の家賃に消費税を課すことは避けられないと考えます。

 以上に述べたとおり、財界人の希望通りに消費税率を大幅に上げたら大変なことになります。「そのような暴挙には賛成できません。」というのが筆者の考えです。