不動産購入、現地確認を怠ったために大損害(その2)

2023年8月8日

 中古の収益用不動産を購入する場合、購入者自身による現地確認を怠る方が散見されます。特に物件の所在地が購入者の住所からかなり離れている場合、および前回の投稿で述べたように取り壊し前提で購入する場合が多いようです。

 「現地を訪問していれば購入しなかった」という話をよく聞きます。現地の訪問、確認および調査により、以下のパターンが認められるようであれば問題のある物件と言えます。実際に購入を避けるべきかは、問題を許容できるかによります。少なくとも高値づかみを避けられます。

注意点

・駅から物件までの道のりの大半が急坂(入居者が退去すると次の入居者がなかなか決まらない)。
・眺望の全てが「隣接する建物の壁」であり、実質的に眺望が全くない。
・物件の前面道路沿いに葬祭場があり、物件の前を霊柩車や喪服を着用した参列者がほぼ毎日通行する。
・地盤が軟弱で建物が傾いている。
・物件が擁壁の上にあり、前面道路から建物に入るためにかなりの段数の階段を登る必要がある。
・幹線道路沿いの物件であるが谷底に位置しており、無風の日は排気ガスが淀みやすい。
・物件の真上を高圧電線が通過している(科学的な理論付けに乏しいが、体調不良を訴える方が多い)。
・駐車場が設けられているものの、奥行きがあまりないことから軽自動車しか駐車できない。
・冬になると多額の除雪費や融雪費が発生する。
・前面道路につながる間口が狭く、再建築する際に賃貸アパートや賃貸マンションを建てられない。
・物件の近くに廃棄物処理工場があり、風向きにより物件の周囲に悪臭が漂う。
・騒音を発生する工場が近くにあり、平日の日中にかなり大きな騒音がする。
・物件の前面道路における幅員が狭く、歩道がないのに大型ダンプ等が頻繁に通行し、危険を感じる。
・物件の脇に川があり、悪臭が発生している。
・複数の入居者が長期にわたり家賃を滞納している。
・屋上の防水塗装を長期間怠ったことから、建物全体で雨漏りがする。
・外壁の傷みが酷く、あちこちに亀裂が認められる。
・ペット飼育不可なのに、共用廊下から動物臭がする。
・オートロックが故障している(動作しない、または異常な動作をする)。

 数千万円~数億円以上もするのに不動産の現地確認、調査および共用部の内見を怠り、慌てて購入して後悔する方がとても多いです。どうして現地確認や調査を行わずに何億円も出せるのか不思議です。

 質の良くない営業担当に「現地訪問や内見をする時間はありません。早く購入しないと他の方に買われてしまいます。」などと言われ、焦って購入しているのでしょう。慌てて購入することは絶対に避けるべきです。