不動産投資家を狙う新たな手口

 ライブドアニュース(幻冬舎ゴールドオンライン)の記事から引用します。なお、元記事はとても長いので関連する部分のみ引用します。

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悪質業者「1,800万円で所有物件を売りませんか?」→「違約金360万円払え!」…“不動産投資家”を狙う、新たな詐欺手口
2023年6月10日 10時15分 幻冬舎ゴールドオンライン

~略~

悪質業者の巧妙なワナ…不動産投資家が狙われている!

たとえば、1800万円の新築物件を購入し、10年が経過した段階で、不動産業者から「売りませんか」と声がかかったとしましょう。不動産業界では、もともと売却する予定がなかった所有者に対して、このように押し売りならぬ「押し買い」で強引に売り物件を手に入れようとする業者を「物上げ業者」といいます。

このとき、物上げ業者から1800万円で購入する、ともちかけられたら、多くの人は気持ちが揺らぐのではないでしょうか。その時点でローン残高が1500万円だったとすると、ローンを完済して、手数料や税金などを差し引いても、それなりのお金が手元に残ります。話がうますぎると感じても、最近は大阪の不動産が高騰している、といった真実らしい理由を聞かされると、警戒感も緩むでしょう。

そうして1800万円で売却することで合意し、売買契約を締結する段階で、彼らは巧妙なワナをしかけてきます。物件の「引き渡し日」が空欄のままで、契約書に署名と捺印を求めてくるのです。「売却先が決まったら、すぐに引き渡し日を設定します」などという言葉を信じて契約書にサインしてしまうと、かわいそうな被害者の一丁上がりです。

物上げ業者には、そもそも買い手を見つける気などないため、そのまま半年、1年と、放置されるのです。そのうち、別の業者に売却したいと考えて売主からキャンセルを申し入れると、売買契約に違約したということで、違約金を請求されてしまうというしくみです。

法律では、違約金は契約額の20パーセントを上限とすることが定められています。1800万円の物件の場合、360万円の違約金に加えて、仲介手数料など、およそ400万円程度を請求されることになります。

こういった悪質な業者に騙されないために気をつけたいのは、通常の不動産取引ではあり得ないような好条件をしっかりと見極めることです。そのためにも、自分が所有する物件がどれくらいの評価額なのか、周辺相場を確認することが大切です。

また、不動産に限りませんが、正式な契約を交わす際にも、慎重に内容を検討する必要があります。とくに、不動産は購入する際に比べて、売却する場合のほうが、いったん成立した契約を取り消すのが難しいとされます。不動産会社とやりとりするなかで、少しでも疑問を感じることがあれば、手続きをいったんストップさせるくらいの慎重さが大切です。

毛利 英昭
株式会社リンクス
代表取締役

ライブドアニュース

 そもそも買主(売却先)が未定であれば、売買契約を締結する意味がありません。買主が不動産会社である場合と一般の個人の場合とでは契約書の文言を変える必要があります。買主がローンを利用する場合はローン契約の内容を契約書に記載します。しかし、買主が未定では記載できません。

 買主が決まっていないのに売買契約の締結を求めてきたら「買主が決まっていません。媒介契約なら締結しますが、売買契約であれば締結しません。」と言い、売買契約書への署名および捺印を拒否するべきです。

 不動産を売却する際は最初に媒介契約を締結します。媒介契約には専属専任媒介契約、専任媒介契約、一般媒介契約の三種類があります。売却するための広告宣伝手段等を打ち合わせ、最適な媒介契約を締結するのが通常です。

 売主側の不動産会社は媒介契約を締結した上で不動産の販売活動を開始します。売買契約書の作成は買主の決定後になります。

 媒介契約を締結することなく、買主未定なのに売買契約書への署名および捺印を求めるのであれば、悪徳不動産会社です。この場合は直ちに取引を打ち切るべきです。

売買契約書に署名・捺印し、不当な請求を受けた場合

 買主が未定であれば、買主の署名および捺印がありません。さらに引渡日が空欄であれば、この売買契約書は無効です。従って「売買契約の違約である」として違約金や仲介手数料を請求されても応じる必要はありません。

 それに違約金の請求権は売買契約の相手である買主にあり、売買仲介を行う不動産会社にはありません。買主が未定であれば、違約金の請求権者が存在しないので根拠のない請求です。不動産会社が請求した場合は不当な請求であり、詐欺に該当する可能性が高いです。

 しつこく請求され、断ったら脅迫された等の場合は不当な請求、または詐欺事案であるとして免許権者(都道府県の不動産業課等)に相談して構いません。