不動産売買や仲介を建築業者に依頼する際は免許の有無等に注意

 特に郊外の方から時々質問される内容です。

★質問1
 当地では工務店や建築会社から土地や家を購入することは、何十年も前から頻繁に行われている。土地および家を売却し、新しく土地を購入したい。工務店や建築会社に依頼したら問題になるか。
★質問2
 「自分が住む家を探してほしい」と工務店に依頼したところ、ある物件を紹介された。物件自体はとても気に入ったので購入を考えているが、所有者は登記簿に記載されていない別人であると言われた。このような物件を購入して大丈夫か。

以下、回答です。

★質問1について
 依頼している工務店や建築会社が宅地建物取引業免許を取得しており、常勤かつ専任の宅地建物取引士が従事していれば、何の問題もありません。

 国土交通省が提供する「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で宅建業者を検索し、当該工務店又は建築会社がヒットすれば宅地建物取引業免許を取得していることになります。

 なお、常勤かつ専任の宅地建物取引士が誰もおらず、単に名義を借りて営業していることが稀にあります。「専任の宅地建物取引士と直接会って相談したい」と告げ、相談することをお勧めします。専任の宅地建物取引士との面談を拒否する場合は名義貸しが疑われます。この場合はその工務店や建築会社の利用を控えることをお勧めします。

★質問2について
 工務店や建築会社が宅地建物取引業免許を取得し、専任の宅地建物取引士が常勤で勤務していれば危険性は少ないと考えられます。宅地建物取引士は売買契約の締結前に商流に関する調査を行ないます。このため「代金を支払ったのに所有権を移転できない」等の深刻なトラブルになる恐れは少ないです。

 しかし、当該工務店や建築会社が宅地建物取引業免許を取得していない場合、または取得していても専任の宅地建物取引士が常勤で勤務していない場合は、取引を控えるのが賢明です。

 所有者が登記名義人ではない場合の多くは「第三者のためにする契約」として売買契約が締結されていることによります。「第三者のためにする契約」では最終的に所有者になった方に直接所有権移転登記(中間省略登記)を行います。売主および最終的な買主の間に介在した者が登記を備えない理由は登録免許税および不動産取得税の節約です。

 このような場合、常勤で勤務している専任の宅地建物取引士は権利関係を調査します。このため、「代金を支払ったのに所有権を移転できない」等の深刻なトラブルになる恐れは少ないです。

 数は多くありませんが「第三者のためにする契約」では取引事故が時々発生しています。原因の多くは調査不足です。このため「第三者のためにする契約」では、住宅ローン(金融機関による融資)を利用できない場合が多いです。

 また、司法書士の先生の中にも同じ理由で「第三者のためにする契約」における所有権移転登記を断る先生がいらっしゃいます。