困った相談(その26、同じ名称の不動産会社と混同)

※ある区役所からの相談(というかクレーム)です。

 東京都の某区役所における各種相談の担当者と名乗る方から電話があり、「区内に居住する住民が不動産相談に来ている。お宅の会社に責任があるので責任を取って欲しい。」と言います。

 内容は以下の通りです。

1.相談者の父親が約40年前に区内の土地を購入した。
2.この土地を売却することになり、測量をしたら登記簿に記載されている面積より40㎡(約12坪)も少ないことが判明した。
3.相談者は「狭い土地を広い土地であるとして高値で購入させられた。訴えたい。」と主張している。
4.相談者は、「大森不動産という会社から購入しました。この会社です。」と言って会社名、所在地をプリントアウトした紙を持参している。

 40年前の不法行為に基づく損害賠償請求権は消滅時効にかかるので、相談者が損害賠償を求める裁判を提起することはできません。このことは本題ではないので脇に置いておきます。

 私の会社は「有限会社大森不動産」です。約15年前の開業当初は都内に「大森不動産」が10軒以上ありました。15年の間に次々に廃業または吸収合併されたようであり、都内における「大森不動産」は現在のところ私の会社のみとなっています。

 このことと40年前には私の会社は存在していないことを伝えたら「不動産屋はそう言っていつもウソをつく。あなたの親が不動産会社を経営していたに決まっている。そうでなければおかしい。」と言って納得しません。しまいには興奮してキーキー金切り声を上げ、ヒステリーに陥り正常な会話が成立しません。

 鍵となるのは免許番号と会社の代表者です。ヒステリー症状がある程度落ち着いたところで「その相談者は重要事項説明書や売買契約書を持参されていますか。それには必ず免許番号と代表者の氏名、説明した宅地建物取引主任者(現在は宅地建物取引士)の氏名が記載されています。記載されている免許番号を教えていただけますか。私の会社の免許番号とは異なるはずです。それに私の会社の履歴を知りたければ法務局で履歴事項全部証明書を請求すればわかります。私の会社は40年前に存在していません。また、私の親や祖父母が40年前に不動産会社を経営していた事実はありません。」と告げました。 

 この後「相談者は現在そちらにいらっしゃいますか。重要事項説明書または売買契約書を持参しているのであれば免許番号を確認してください。」と再び話したら、「相談者は私の目の前にいます。土地の測量結果に関する書類を持参していますが、購入した際の契約書等は持参していません。」とのことでした。

 「社名等が記載されている紙をどのような方法でプリントアウトしたかを尋ねてください。恐らく社名をグーグル等で検索し、結果を印刷しただけではないかと思います。わかりましたらもう一度お電話ください。」と話しました。これに対し区役所の方は「わかりました。確認します。」と言い、電話が切れました。

 その後に電話がかかることはなく、謝罪の言葉は一言もありません。あまりにも馬鹿馬鹿しくて話になりません。この担当者の職務遂行能力は極めて低く、相談者が気の毒になるレベルです。

 他にも社名を検索しただけで「お宅の会社が起こした不始末だ。」と決めつけ、連絡してくる方がいます。全て既に消滅した他の「大森不動産」が関与した案件に関するものです。

 いわゆる「勘違い」で連絡してくる方に対する対応は時間の浪費であり、困りものです。