デート商法で収益用区分マンションを購入させる輩に注意

 不動産を利用した悪事としては原野商法が有名です。原野商法とは「将来は新幹線の停車駅ができるので地価が上がります。価格が安い今のうちに購入することをお勧めします。」などのセールストークを使い、北海道や東北地方の原野を相場よりも極めて高額な価格で売りつける商法であり、主に高度成長期の前後に流行した悪徳商法です。

 ここ数年前から再び原野商法が増える傾向がありましたが、この商法が広く周知されたためか、発生件数は減少傾向にあります。

デート商法を利用して収益用区分マンションを高値で購入させる事案が増加中

 原野商法が下火になったと思いきや、今度はデート商法を利用して収益用区分マンションを高値で購入させる手口が流行し、被害者が増えています。

 不動産会社にフルコミッション契約で勤める若い男性の営業担当が、婚活サイトやマッチングアプリを利用して知り合った若い女性に収益用区分マンションの購入を勧めるのが一般的な手口です。

 デートを何回も行い、女性に恋愛感情が芽生えて親密な関係であると思わせることに成功したところで収益用区分マンションの購入を迫ります。関係が切れることを恐れる心理につけ込み、購入させるわけです。

 通常は利回りをベースとした売却価格が設定されているのですが、この売却価格の5割増しとか酷い場合は2倍の価格で売りつける場合があります。 

 そして売買契約が成立して決済が終わり、8日間のクーリングオフ期間が過ぎたところで件の営業担当は行方をくらまします。不動産会社を尋ねても「先日退職し、行方はわからない。」と言われ、デート商法であったことに気付くわけです。

 消費者契約法が改正されたことにより、デート商法の場合には8日間のクーリングオフ期間が適用されます。しかし、8日間のクーリングオフ期間を過ぎた後に行方をくらます事案が多いです。

デート商法で騙された場合、高値づかみをするだけでは済まないことがある

 収益用不動産を購入する目的で金融機関から融資を受ける場合は、事業用ローンによる融資を受ける必要があります。しかし、悪徳営業担当の中には審査を通過しやすいという理由で、買主に住宅用ローンの申請書類に署名および捺印をさせることがあります。

 住宅ローンとしての融資を受けて収益用不動産を購入する行為は金銭消費貸借契約に違反する行為であり、大半はどこかで露見して一括返済を求められることになります。

 一括返済が出来ない場合は収益用不動産を任意売却か不動産競売で売却しなければなりませんが、ほとんどの場合に借金が残ります。

 また、買主は詐欺罪および有印私文書偽造罪で告発され、刑事責任を追及されることがあります。詐欺罪には罰金刑の定めはありませんので、立件された場合は懲役刑または禁錮刑に処せられることがあります。

 言うまでもなく、恋愛感情を維持するために収益用不動産を購入することは絶対に避けるべきです。