収益用不動産(1棟ものの賃貸マンション)購入時の注意点(その2)

※前回投稿した内容の続きです。

建物の全体を各方向からチェック

鳥の糞で汚れている箇所に注意

 鳥の糞だらけのフロアがあるとか、特定の一室のバルコニーが糞で汚れていることがあります。入居者が窓を開けてカラスやハトに餌やりをしていることがあります。酷い場合は部屋の一室を常時開放し、鳥の餌やり場にしていることがあります。部屋の中は鳥の糞だらけで目も当てられません。

 オーナーや管理会社は注意しているのでしょうが、聞き入れないのでしょう。このような状態の部屋がある物件において他の部屋に空室が生じた場合、次の入居者はなかなか決まらないことが容易に想定できます。

 賃借人に問題がある場合でも、退去させるためには裁判を提起しなければならないことが多く、高額の費用が発生することがあります。このような物件の購入は見送るべきでしょう。

外壁の状態を確認

 コンクリートの壁面が一部剥離している、外壁のタイルが剥がれている等の物件は要注意です。剥離した壁材やタイルが通行人に当たり、死傷させた場合には、オーナーは高額な損害賠償を請求されることになります。

 このような物件は、大規模修繕を適切に行っていない場合に多いです。明日の投稿に書きますが、築年数がある程度経過しているのに大規模修繕の履歴がない、または履歴に関する書類が保存されていない物件は、購入するべきではありません。

クラック(ひび)に注意

 外壁や柱、梁、基礎に大きなクラック(ひび)が入っていないかを確認します。コンクリートは温度差により収縮することから、ほとんどの物件において長年の間にクラックが入ります。しかし、内部の鉄筋が腐食していなければ、発見する度に適切な補修を行うことにより強度は保たれます。クラックがある建物の耐久性は、専門業者に調査を依頼して確認するのが適切です。

 一般論になりますが、幅0.3mmを超える大きなクラック幅が確認される物件の購入は控えるべきです。

屋上のチェック
 陸屋根の建物の場合、可能であれば屋上の状態を確認します。なお、安全上の観点から屋上部分に容易に行けないように設計している建物があります。

 屋上を確認できる場合は屋上のウレタン塗装・防水シート、樹脂塗料、アスファルトの状況を確認することをお勧めします。台風などの強風時に飛来物が衝突し、防水塗装やシートが破れていることがあります。これが破れると、下の部屋で雨漏りが発生する原因になります。

 破損箇所がある場合には値引き交渉の材料になりますが、防水塗装やシートを修復しても雨漏りが改善されないがありますので、専門業者にチェックをしてもらうのがお勧めです。

建物にテナントが入居している場合
 賃貸マンションの場合、入居希望者は防犯上の理由により1階の部屋を避ける傾向があります。このため、1階部分を店舗や事務所にして貸し出し、2階より上を居住部分にしている物件があります。

 焼き肉店、ラーメン店、中華料理店等が入居している場合は煙や臭いが原因で、入居希望者が避けることがあります。

 2022年3月の時点ではコロナ禍が終息しつつあります。あまり考えたくないのですがが、再び流行した場合にはテナントが閉店することがあり得ます。特に酒類を提供する店が入居している場合は閉店リスクを検討する必要があります。

 建物内に事務所が設置されていることがあります。不特定多数が出入りする事務所であると、防犯を気にする方は賃貸住宅部分への入居をしたがりません。

 ロケーションが良好であり、建物が比較的新しい場合でも、いわゆる反社会的勢力が入居していることから価格が安い場合があります。該当する入居テナントの有無については、不動産会社または売主(オーナー)に必ず確認する必要があります。

 最近、反社会的勢力はいわゆる「代紋」を掲げずに活動拠点にするので、不動産会社または売主(オーナー)に尋ねる必要があります。

 暴対法が施行されていますが、賃貸借契約書の特約条項に反社会的勢力排除条項が記載されていなければ反社会的勢力を退去させることはかなり困難です。賃貸借契約における借主の権利はとても強いからです。

 退去する見込みがなければ、このような物件を購入するべきではありません。