購入候補の物件は内見を複数回行い、さらに周囲の環境を確認するべき

不動産の転売などを生業としている方でなければ、不動産の購入は一生に1~2回程度しかない重大なイベントであると言えます。

夜訪(やほう)に注意
自宅を購入したいとお考えの方が、インターネットのポータルサイトで見つけた戸建住宅を不動産会社の担当者同伴の上で内見を行ったとします。

この場合によくある間違いは、内見した日の夜に「そちらにお伺いし、内見の際に説明した話の続きをさせて欲しい」との電話が不動産会社の内見担当者からあり、説明を受けた後に直ちに買付証明を提出してしまうことです。その翌日にはすぐに契約するように迫られたことから根負けして契約し、後で後悔する方が多いです。

質の良くない営業担当だと「このような良い物件は二度と出ない」「今日中に買付証明をいただかないと、この物件の購入を検討している他のお客様が購入してしまう」「売主様は早く契約したがっている。この場で買付証明をいただければ、大幅な値引きにも応じて貰えると思う」等のセールストークを用います。

しかし、購入候補となる物件がある場合は物件の内部だけではなく、周辺の環境についても調べる必要があります。内見した日の夜に「今日中に買付証明をいただかないと...」などと言われた場合は、この営業担当は自分の営業成績しか考えていないことが明白なので、丁重にお断りするのが良いと思います。

内見は、複数回行っても構わない
私の会社に来られたお客様の中に、1件の中古戸建住宅に対する内見を5回行った方がいらっしゃいます。建物の耐震性、および隣近所の建物に住まわれている方の素性を知りたかったとのことです。

晴れている日と雨の日のそれぞれについて内見をされた方がおられます。天井だけではなく、窓ガラスからの雨漏りの有無を調べたいとのことでした。

1回の内見だけで物件を決めることはとても危険です。納得できない点や見落とした点がある場合は、繰り返して内見することをお勧めします。

ただし、現況居住中の物件では売主の都合に合わせる必要があります。購入希望者が希望する日時に内見を繰り返し行うことに同意してくれるとは限りません。内見の際におけるチェックポイントをあらかじめ決めておき、効率的に行うことをお勧めします。

室内だけではなく、環境に注意
周辺の環境は、特に土曜日や日曜日、祭日に内見しただけではわからないことが多いです。確認するべきポイントはかなり多いです。

最寄り駅から物件迄の道が坂道で、しかもアップダウンが激しいと、居住を開始してからすぐにうっとうしいと感じる方が多いです。実際に歩いて確認する必要があります。

バス便物件の中には、休日はバスがスムーズに運行するものの、平日の通勤時間帯には大渋滞するために利用しにくい物件があります。これは休日における内見だけではわからないことが多いです。

物件の近くに町工場や建設会社の作業所があると、平日の日中における騒音が酷いことがあります。コロナ禍であることからリモートワークが推奨されていますが、平日の日中に騒音が発生するのではリモートワークに支障をきたします。

近くに自家用車で行けるショッピングセンターがあることを売りにする物件も注意が必要です。休日になると駐車場が満車になり、利用できない物件があります。

信号のある交差点に近く、大通りに面する物件では、無風状態の際に自動車の排気ガスが物件の周囲に淀むことがあります。このような場所では洗濯物を室外に干すことができません。特に谷底にある物件は要注意です。

近くに公園がある物件も、注意が必要です。金曜日または土曜日の深夜になると、いわゆる半グレや暴走族風の若者等が集まる公園があります。このような場所を深夜に歩くことは危険です。

車庫付きの戸建住宅を購入する際は、お持ちの車が入庫できるかを確認する必要があります。中古住宅の中には車庫の幅が狭い物件があり、大きな車だと出入庫がしにくいことがあります。

葬祭場の近くにある物件では、毎日のように大勢の喪服を着た人が行き交うところがあります。ほぼ毎日、自宅の前を喪服を着た人が大勢行き交うことには抵抗感を感じる方が多いのではないでしょうか。

近くに崖地がある場合、崩落する恐れの有無を確認しておく必要があります。敷地から見渡せる範囲に崖地が見当たらない場合でも、土砂災害特別警戒区域や土砂災害警戒区域に指定されていることがあります。このような場合は、購入を検討している場所が崩落する可能性があります。

学校の近く、特に通学路では車両の通行を禁止する時間帯を設けている道路があります。前面道路に車両の通行を禁止する時間帯が設けられていると、その時間に車を動かすことは認められません。通勤に自家用車を利用する場合は、特段の注意が必要です。

注意するべき点は、上記の他にも数多くあります。