リノベーションができない中古区分マンションに注意(売買物件)

中古区分マンションを購入する際に、管理規約および細則においてリノベーションの制限が記載されているのに気がつかずに購入してしまい、後悔されているという方がいらっしゃいます。
また、マンションの構造上の問題から、思うようなリノベーションが出来ないことがあります。

管理規約や細則がリノベーションに制限を設けている場合

管理規約や細則には、利用目的に関する制限、ペット飼育の可否、楽器利用の可否、管理費および修繕積立金、駐輪場や駐車場の利用方法等が記載されています。これらは購入希望者の大半が関心を抱く内容であり、仲介を依頼している不動産会社において事前に確認していることが大半です。このため、重要事項説明の際には必ず説明します。よって、これらの内容を知らずに購入される方は少ないと思います。

しかし、リノベーションの制限に関する内容は見落としがちです。ファミリー向けマンションの間取りを変更して広いリビングダイニングキッチンを設ける、押し入れやクローゼットを撤去するか小さくして部屋を広くする、和室を洋室に変更する、雰囲気を変えるために床板を張り替えたい等の場合に、管理会社や管理組合から「管理規約および細則が定める内容に反するので工事は認めない」と言われることがあります。

ライフスタイルの変化や子供の成長に伴い、間取りを変えたい等と思うことがありますが、それを制限するマンションが多く存在します。管理規約や細則等によく記載されているのは以下の内容です。

・和室を洋室に変更することは禁止(下の階において騒音が発生する原因になるから)
・床板を張り替える際に使用する床材の遮音等級やL値を指定

 張り替えの場合は、床材の型番およびL値を管理組合に申告しなければならない
 (L値:床の上で発生した衝撃音が下の階でどの程度聞こえるのかに基準を置いた値)
・二重床の場合、床板の張り替えは一切認めない
・工事の曜日、工事の時間帯は管理組合が指定する
 (土曜日や祝祭日の工事禁止。工事時間は午前9時~午後6時までとし、延長は認めない等)
・工事期間はエレベーター内に養生措置を行う

・リノベーションを行う際は二ヶ月以上前に管理組合に連絡し、管理組合の役員会における承認が必要

特に注意が必要なのは「管理組合の役員会における承認が必要」としているマンションです。
過去においてリノベーション業者と管理組合との間にトラブルが発生した等を理由として、「管理組合の役員会はリノベーションを一切認めない」としているところがあります。このようなマンションではリノベーションが出来ません。

私もこのようなマンションの管理組合に対し、リノベーションが一切出来ないのかを尋ね、相談したことがあります。回答は「リノベーションでない壁紙の貼りかえ、床板そのものの張り替えではない薄い床板タイルを床板の上に貼る行為はOK。他は不可」というものでした。

リノベーションの制限は重要事項説明書に記載されていないことがよくあります。また、記載されている場合でも、重要事項説明の説明時間を短縮するために、不動産会社の担当者が読み上げないことがあります。

中古区分マンションを購入する際には、契約前に管理規約や細則の確認をすることをお勧めします。「契約後でないと管理規約や細則を送れない」と言われた場合は、当該マンションにおけるリノベーションの制限について、仲介を依頼する不動産会社に調査してもらうことを強くお勧めします。

構造上の問題があるためにリノベーションが出来ない場合

いわゆる「直床」(二重床ではない)であるマンションの場合によくあります。このようなマンションでは、キッチンユニットの真下などを除き、床のすぐ下までモルタルが敷き詰められています。床下の配管を配置し直すことは困難(というか無理)です。

水道管や排水管等の位置を変えられないため、大きなリビングダイニングキッチンを設けてキッチンユニットの位置を変える等のリノベーションができないことがよくあります。

これも重要事項説明書には記載されないことが多く、しかも説明が省略されることがありますので、仲介を依頼する不動産会社に確認してもらうことをお勧めします。