設備を更新し続けないと入居者が決まらない(その1、光回線)

今年の繁忙期は新型コロナウイルス感染症が拡大したため、ほとんどの不動産会社で内見希望者が激減したようです。都内の城南地区(目黒区、世田谷区、品川区、大田区)では賃貸アパート・マンションの空室が激増し、空室の状態で4月1日を迎えた物件が数多くあります。特に単身者用のワンルームまたは1Kの空室は、空前と言えるレベルの数になっているようです。

「4月になっても空き部屋が多い」ということで嘆いていらっしゃるオーナー様は多いと思いますが、ここは他の物件との差別化を図り、入居者を募集するしかないと思います。

先日の投稿に書いた通り、家賃の値下げやフリーレントの設定は、他の物件との価格競争に追い込まれることからお勧めしません。「設備」に注目し、ライバルとなる他の賃貸物件との差を付けることがお勧めです。

今日は、インターネット設備について書きます。

インターネット、ケーブルテレビの変遷
技術革新が進んでいることから、入居者が賃貸物件に求める設備の内容は変化しており、インターネット回線ではアナログ回線からISDN回線、ADSL、光回線と進化しています。そして光回線が登場した直後にケーブルテレビが配信されるようになりました。さらに、ケーブルテレビを経由してインターネットに接続する方法が考案されました。

賃貸アパートおよび賃貸マンションではケーブルテレビを積極的に導入し、視聴可能なテレビチャンネル数を競い合う状況になりました。そしてケーブルテレビ回線からインターネット接続ができることを謳う賃貸アパート・マンションが急増しました。

最近まで、ケーブルテレビの利用料を無料にして入居者を募ることが行われてきました。しかし、最近ではケーブルテレビの視聴者が激減しています。それにケーブルテレビを利用したインターネット回線は通信速度が遅いため、特に動画の配信・視聴を行う方から不人気になりつつあります。

ケーブルテレビ回線の設置に多額の費用をかけたオーナー様が多いです。しかし、最近の入居希望者が求めるのは無料で利用できる高速のWi-Fi設備です。ケーブルテレビの有無や視聴可能チャンネル数の多さにはあまり興味を示さなくなっています。

テレビは地上デジタル放送およびBS・CS放送が受信できればそれで足りると考える方が多くなっています。このため、通信設備を更新する際はケーブルテレビ回線ではなくインターネット専用の光回線を敷設し、テレビは屋上等にテレビアンテナを設置することで対応するのが合理的であると言えます。

また、インターネット専用で光回線を導入する際の配線方式としてはVDSL配線方式、光配線方式、LAN配線方式がありますが、VDSL配線方式は通信速度が遅いことから敬遠され始めています。設備を更新する際には光配線方式またはLAN配線方式を選ぶのが良いと思われます。

従来から入居されている方の中にケーブルテレビで数多くのチャンネルを視聴している方がいる場合、ケーブルテレビ回線をインターネット専用回線に変更することは困難です。このため、更新はケーブルテレビの利用者が少なくなった時点で行うしかありません。この点がとても悩ましいです。