家賃保証会社による入居審査

令和2年4月1日に施行された改正民法により、連帯保証人を立てる際には保証の極度額を予め通知しなければならなくなりました。賃貸物件の場合、実務ではこの極度額は家賃および共益費の合計の二年分とされます。例えば月家賃6万円、管理費5千円のアパートでは、極度額は156万円になります。

この金額を示されても連帯保証人を引き受ける方は、本人と密接な関係にある親族等に限られます。連帯保証人を立てることは難しくなりました。連帯保証人を立てない場合は、家賃保証会社を利用することになります。

現在、多くの物件で家賃保証会社との保証契約が締結されることを入居を認める必須条件にしており、家賃保証会社の審査を通過することをもって、入居を許可する物件が増えています。

そして家賃保証会社の審査を通過出来ない場合は、入居が許可されないことになります。

家賃保証会社は何を審査しているか
1.年収と賃料とのバランスが取れているか
年収が少ない方に高額な家賃の物件への入居を認めると滞納してしまい、オーナーも入居者も困る事態に陥ります。

年間に支払う家賃の総額は年収の3分の1以下、出来れば4分の1以下であることが審査を通過する要件であるとされています。

2.過去の家賃滞納歴
家賃保証会社を大きく分けると信販会社系、全国賃貸保証業協会(LICC)、賃貸保証機構(LGO)、独立系の4種類に分かれます。

家賃の滞納が発生し、代位弁済(家賃保証会社によるオーナーへの立て替え払い)が行われた際には「滞納歴あり」の信用情報が記録され、家賃保証会社が所属するグループ内で共有されます。

信用情報が各グループをまたいで共有されることはないとされていますが、実際のところはわかりません。以前、私がお世話したお客様の中に、グループをまたいでデータが共有されているとしか思えない方がいらっしゃいます。

3.クレジットカード、カードローン等の利用状況
支払いの遅延が発生すると、割賦販売法・貸金業法指定信用情報機関(CIC)の信用情報に登録されます。すると、信販系の家賃保証会社では家賃保証契約の締結不可と判断されます。結果として入居審査を通過出来ないことになります。

調査対象となるのはクレジットカードだけではありません。スマートホンの分割払いやカードローン、自動車ローンも対象になります。

4.本人確認(申告された勤務先に勤務しているか)
多くに場合に家賃保証会社が本人の勤務先に電話をかけて確認します。

電話を何回もかけても通じないとか、不在の場合に折り返して電話するようにお願いしているにもかかわらず折り返しの電話がない場合は、家賃保証契約の締結不可と判断され、入居審査を通過出来なくなります。

勤務先を偽り申告される方がいらっしゃいますが、論外です。

怖い時代になりました
家賃の支払やクレジットの返済を怠るとデータベースに登録され、賃貸物件を借りることが出来ない時代になりました。

賃貸物件の家賃を滞納したことにより追い出されてしまうと、新たな入居先を容易に見つけることが出来ません。家賃滞納の事実がデータベースに登録されるからです。

賃貸物件を借りる際は収入に見合った賃料の物件にし、家賃の支払いは他の支出項目よりも優先する必要があります。