暴力団幹部がマンションで大麻を栽培し、逮捕

2023年11月27日

 中日新聞のWEB記事から引用します。

※掲載社の都合によりリンク先の元記事が削除され、リンクが切れることがあります。あらかじめ御了承願います。

※令和4年3月14日追記:リンク先から元記事が削除されましたので、リンクを外しました。

※令和5年11月27日追記:名誉権侵害の恐れがあるため、引用記事に記載されている容疑者の氏名等を修正しました。

大麻栽培の疑いで暴力団幹部を逮捕 名古屋・中署
2022年1月31日 22時59分 (2月1日 02時00分更新)

 名古屋・中署などは31日、大麻取締法違反(営利目的栽培)の疑いで、名古屋市緑区緑花台、特定抗争指定暴力団傘下組織幹部の無職A容疑者を現行犯逮捕した。

 逮捕容疑では31日午後1時35分ごろ、緑区内のマンションの一室で大麻草1株を栽培したとされる。

 署によると、認否を留保している。マンションは大麻の栽培拠点になっており、リビングなどから大麻草とみられる植物300株と栽培用具計400点が見つかった。暴力団幹部が自ら大麻を栽培していた例は珍しいといい、署は大麻の売り上げが暴力団の収入源になっていたとみて、販売実態の解明などを進める。

中日新聞

 賃貸マンションを特殊詐欺(振り込め詐欺など)の犯罪拠点に利用される例が多くありますが、今回発生した事件のように、法が栽培を禁止している植物(大麻など)の違法栽培事案がたまにあります。

 報道には記載されていませんが、入居を申し込んだのは誰であったか、事件はどのような経緯で発覚したかが気になります。このような事件が発生すると、オーナー様は多額の出費を余儀なくされることがあります。

 オーナー様としては本来の用法に違反した利用をされたことを理由として賃貸借契約を解約できます。また、逮捕されたのが反社会的勢力の幹部や構成員であり、賃貸借契約書に反社会的勢力排除条項が記載されている場合は、本条項による解約が可能です。

 さらに、逮捕された人物が賃貸借契約書における借主と異なる場合は、第三者に対する無断転貸をが行われたことを理由とした賃貸借契約の解約も可能です。

 しかし、現場検証が行われ、警察が証拠を保全する必要があると判断した場合には、賃貸借契約を解約した場合でも直ちに室内に手を付けることができません。それに犯人が逮捕されると家賃収入を得ることが出来なくなります。

 連帯保証人に代位弁済をしてもらおうと思っても、多くの場合に連帯保証人が実在しないか、弁済能力が無いことから代位弁済を受けられないことが大半です。

 事件の証拠となる物品は警察が押収しますが、テーブル、椅子、その他の家具、家電製品等が残置されることが多いです。これらの物品を処分するためには警察に出向き、犯人に所有権放棄を認める書面に署名捺印してもらう必要があります。しかし、犯人に所有権がない物品については署名捺印を求めることはできません。

 犯人が複数の場合、各々の物品が誰の物なのかを特定し、所有権放棄を個別に求める必要があります。ところが、警察が踏み込んだ際に現場に居合わせなかった共犯が在室しておらず、私物を置いたままそのまま逃亡することがあります。このようなことになると、所有権放棄を求める方法がありません。

 室内に残置された物品をオーナー様が勝手に処分する行為は自力救済行為になります。このため、所有権を放棄してもらえない物品が残置されている場合は裁判所に対し、明け渡し請求の裁判を提起する必要が生じます。

 入居の申し込みをした者が反社会的勢力のいわゆる「サクラ」である場合は、実際の賃借人(賃貸借契約書における借主)が行方不明であることがよくあります。弁護士を立て、裁判所と協議した上で公示送達等の方法により賃貸借契約の解約を通知し、さらに明け渡し請求をすることになります。

 なお、実際の賃借人が虚無人(偽名を使用し、偽造した身分証明書を使用して賃貸借契約を締結したことから、賃借人は実在しないという意味)場合は、法的な取り扱いがとても厄介なので、具体的な対応は弁護士に依頼します。いずれにせよ、最終的には明け渡し請求を認めてもらい、強制執行を行い、 室内の物品を撤去します。

 ここまで行うと、弁護士費用、裁判費用、強制執行費用、その他の多額の費用が発生します。発生した費用は賃借人に請求できますが、賃借人が行方不明である場合、または弁済の資力が無い場合はオーナー様が負担しなければならなくなります。賃貸物件を犯罪の拠点として借りられると、オーナー様は多額の出費を強いられます。

 賃貸物件を犯罪拠点として利用されることを完全に防ぐことは困難です。しかし、入居者募集を不動産会社に依頼する、入居審査は不動産会社に行ってもらう、不動産会社を通さない賃貸借契約の締結は行わない、入居審査の際は賃貸保証会社(家賃保証会社)を利用する等は、犯罪の拠点として利用されることを防ぐのに有効です。