賃貸物件における心理的瑕疵(その2:事故物件にしないために)

昨日の投稿では、賃貸物件における心理的瑕疵はどのような場合に発生するかについて書きました。
本日は、所有する賃貸物件が事故物件にならないようにするために取り得る方法について書きます。

結論から申し上げると、防犯、防災、居住者の健康状態チェックに行き着きます。記載した内容は全て初歩的な事項ですが、これを全て実行できれば事故物件になる可能性は大幅に低くなります。

1.防犯
強盗が原因で事故物件になることがあります。窃盗犯でも、物色中に住人と遭遇してしまうと強盗に早変わりし、住人と格闘になることがあり得ます。いわゆる「物盗り」が入れない構造にし、防犯カメラによる監視をすることにより対応します。

1-1.部屋のカギを防犯性の高いものにし、外部から開けにくくする
いわゆるピッキングによる侵入を避けられ、さらに鍵の複製を作成しにくいものに変えることにより、安全を図ることが出来ます。ディンプルキーなどが普及してきたことからピッキングによる侵入は以前より少なくなっていますが、ピッキングによる侵入、窃盗事件は未だに発生しています。

ディンプルキーやウェーブキーは、セキュリティーの面で信用できます。その中でも、一般の鍵販売店に設置されている鍵の複製機ではスペアキーを作成できない種類の錠前に交換することにより、鍵を紛失した場合でも安全な物件になります。費用が発生しますが、事故物件になることを考えれば安いものだと思います。

1-2.サムターン回し防止器具
ドアに穴を開けてサムターンを回す手口による侵入事例があります。木製のドアだとこの被害に遭いやすいです。この場合にはサムターン回し防止器具の取り付けが有効な場合が多いです。

1-3.入居者への啓蒙
郵便受けに鍵を入れる、共用部に置いてある鉢植えの下にスペアキーを置く等をしてしまう居住者が未だに多くいます。賃貸借契約の契約時、または入居の際にスペアキーを室外に置かないように話しておくことが重要です。

1-4.防犯シャッターの設置
費用が発生しますが、1階のバルコニー、可能であれば1階及び2階のバルコニーの雨戸はシャッターにするのが有効です。バルコニーのガラス扉を破って侵入する賊の発生を防ぐのに有効です。

1-5.防犯カメラの設置
共用部分の入り口、および各フロアの廊下などに設置します。設置していることを共用部の玄関や入り口に掲出することが重要です。
万が一、賊が侵入した場合に犯人逮捕の手がかりになります。

2.防災
2-1.火災警報器、火災報知器の定期的な動作確認
正常に作動するかを定期的に確認します。火災報知器などの住宅用防災機器の設置は、消防法によりほぼ全ての共同住宅に義務づけられています。

東京都の場合は火災予防条例により、浴室、トイレ、納戸を除く全ての居室に余地付けが義務づけられています。付け忘れている部屋がないかを確認します。

2-2.消火器の設置
各部屋、および共用部分に住宅用消火器を設置します。

2-3.啓蒙
寝たばこは絶対にしない。カーテンは、なるべく防炎仕様のものにする。ガスコンロに火を付けている間はそばから離れない。どうしても離れなければならない場合は火を消す。ストーブの近くに燃えやすい物を置かない。

基本的なことですが、入居時および契約更新の際に、注意事項として指摘しておくことが重要です。

3.居住者の健康状態チェック
いわゆる孤独死を避けるための方策です。

3-1.巡回の頻度を高くする
1週間に一度程度の頻度で管理会社またはオーナーから安否確認の連絡を入れること等について、契約書の特約事項に入れておくとよいと思われます。

3-2.見守りサービスの活用
高齢者および持病のある方については、警備会社などが提供するこのサービスの活用が有効です。

3-3.賃貸アパートの場合、居住者に異変がないかを連絡してもらう係を設ける
長年居住されている方の中から、見回りと安否確認をして貰える方を募集するのも一案です。「謝礼をするから各部屋の居住者に異変がないかを報告してもらいたい」とお願いし、居住者の誰かが病気で倒れた、階段から転んで怪我をしたなどの情報を提供してもらいます。