不動産の買い取り価格が下落、市場流通価格も下がる?

※本日の話題は東京都23区内、および神奈川県東部(川崎、横浜)において該当する内容です。他のエリアでは必ずしも該当しない場合がありますので御了承願います。

 最近、「不動産の価格(市場流通価格)はいつ頃から下がりますか。」と質問されることがあります。先日、日経平均株価はバブルの時期における最高値を更新しましたが、徐々に下がり始めている感があります。株価が下がれば不動産価格も下がるのではないかと考える方が多いようです。

 あくまでも東京都および神奈川県東部(川崎、横浜周辺)の話ですが、不動産会社や建売住宅会社、ハウスメーカーなどによる不動産買い取り価格が下落しています。コロナ禍になる前は市場流通価格の約8割が買い取り価格の相場でしたが、最近は65~75%前後で推移しています。

 株価が徐々に下がり、不動産業者による買い取り価格が下がっていることから、近いうちに市場流通価格も下がるように思えるかもしれません。しかし、後述するように市場流通価格が下がる要因は見つからないのが現状です。

 買い取り価格が下がった理由は資材価格の高騰です。資材の価格が急騰した分の全てを新築物件の販売価格に転嫁させることは非常に困難です。このため、土地の仕入れ価格を下げ、新築物件の価格上昇をなるべく抑えて販売しなければならなくなっています。

 不動産買い取り価格が下がっていることから、不動産(土地)の売却案件が減り、供給量が減少しています。さらに建設業界における人手不足という要因も重なり、特に新築戸建住宅や新築分譲マンションの建設件数が激減しています。

 コロナ禍になる前は、沢山ある売物件の中から選択して購入するのが一般的であり、どの物件を選択するかで迷う方が大半でした。しかし、最近は売り出される物件の数がとても少なくなっています。特に購入希望エリアが狭い場合、希望する条件を満たす物件が出るまでに数ヶ月~1年以上を要することが増えています。

 お客様から「沢山ある中から選びたい」と要望されても、物件が少なすぎるためにご要望に応じかねることがしばしばあります。また、売り出される物件の数が少ないので、価格競争は自然に抑制されます。

 以上の理由により、不動産の販売価格は当分の間、下がらないのではないかと考えられます。ただし、リーマンショックのような経済恐慌が発生した場合はこの限りではないことをお断りしておきます。