東京都城南エリア(主に目黒区)の住宅事情(その2)

※昨日投稿した内容の続きです。

賃貸住宅の空室率は都内でトップレベル

 意外に思われる方が多いのですが、目黒区内における賃貸物件(マンション、アパート、戸建)の空室率はもの凄く高いです。ライフルホームズ-健美家がまとめた空室率の一覧表によると、目黒区は都内の各区市郡の中で2番目に高い28.2%に達しています。ちなみに1位は千代田区です。

 元々目黒区は家賃が高額であるところ、コロナ禍の長期化により賃金カットや解雇が多く行われました。厚生労働省が発表した5月の毎月勤労統計調査(PDFファイル、4ページを参照)によると、物価変動を加味した実施賃金は前年比1.2%減です。コロナ禍が終息したと言われますが、実質賃金は連続で下がり続けています。

 収入が減少した若い単身者は、目黒区外の家賃の安いエリアに転居しました。このため、空室率が跳ね上がったものと思われます。なお、家賃が高額な理由は、固定資産税が高額であることによります。

 現状として、若い単身者が向けのワンルームまたは1Kの賃貸物件における月賃料は、快適なところで8万円以上になります。駅から徒歩5分以内の駅近物件では10万円程度です。新築または築5年以内の築浅の物件では12万円以上します。

 ファミリー向けの2DK等では月家賃が12万円以上になります。室内面積30㎡の3LDKの場合、月家賃は28~30万円が相場です。家賃がここまで高額であると入居出来る方は極めて限られます。

 目黒区内の賃貸物件、特に単身者向けの物件は空室だらけであり、満室にする方法に関する相談が数多く寄せられます。しかし、月家賃8万円の貸室に入居するためには月収28~30万円前半が必要です。これだけの月収がある単身者は少ないことから、満室にすることはかなり難しいと言えます。

分譲戸建住宅、土地、区分マンションは人気集中

 住環境が良好であることから、戸建住宅やマンション、土地の売買取引は活発に行われています。土地価格は1坪当たり300万円を超えるところが多く、整形地であれば350~400万円超のところが多くあります。

 目黒区ではここ数年の間に土地の実勢価格が急騰しています。しかし、購買意欲は衰えていません。実家を相続した中高年が実家を売却して得た資金に自己資金を追加し、さらに住宅ローンを利用して購入しているものと思われます。特に土地の場合は売り出し開始から1か月以内に成約することがよくあります。

 新築の建売住宅の場合、価格1億2千万円以上の物件が多いです。それでも売り出すと着工前の時点で完売するのが現状です。