賃借人の退去時における立ち会い(賃貸物件のオーナー様向け)

 これから賃借人が退去する時期を迎えます。本日は、賃借人が賃貸借契約の解約を申し出た場合の対応について、特にオーナー様が注意するべき点について書きます。

 賃貸物件の管理全般を管理会社に任せている場合は管理会社が対応してくれることが大半です。しかし、家賃の出納業務のみを管理会社に依頼している等、入居者の退去および入居に関する管理を任せていない場合は、オーナー様が自ら対応する必要があります。

 たまに勘違いをされているオーナー様がいらっしゃいますので指摘しますが、退去しようとしている方が入居する際に仲介した不動産会社には、退去時に立ち会う義務はありません。入居する際に仲介した会社が退去の際も立ち会い、清算業務にも無償で対応すると思われている方が多いですが、誤りです。

 無償で対応してくれる不動産会社は、新しい入居者の募集を、自社に専任媒介で任せてくれること等を条件にしている(または期待している)ことが大半です。

退去時における立ち会いが必須である理由
1.ペットを残置する方がいる
 たまにあるのですが、退去の際に誰も立ち会わないと、子犬や子猫が入った箱が置いてあることがあります。また、室内にリードでつながれた犬や猫がいることがあります。退去した方に連絡すると「引っ越し先はペット飼育不可なので、オーナーさんにお譲りします。可愛がってください。」等、非常識な物言いをされることがあります。

 動物愛護法の精神に鑑み、大半の保健所では残置された犬や猫に対する殺処分を行いません。ペットを残置されるとオーナー様が里親を募集するか、自ら飼育しなければならなくなります。くれぐれも御注意ください。

2.故障した家電製品や大型家具を残置する方がいる
 故障した冷蔵庫、洗濯機、テーブル、自転車等を置いて退去する方がいらっしゃいます。これらの物を残置されるとオーナー様が片付けなければなりません。

 これらは一般家庭から出た粗大ゴミとな見做されず、産業廃棄物となります。このため、地方自治体では引き取ってもらえず、産業廃棄物として処理業者に処理してもらう必要があります。処理費用は、一般家庭が粗大ゴミとして地方自治体に引き取ってもらう場合よりも極めて高額です。

 残置物として物を残して退去することは一切認めず、引っ越し先で処分してもらうように依頼することが必要です。

3.退去の完了時に、鍵をその場で返却してもらえる
 引越の完了時に立ち会っていれば、鍵をその場で返却してもらえます。立ち会わないと鍵を引っ越し先に持って行かれ、引越のどさくさに紛れて紛失されることがよくあります。

 また、鍵をなかなか返却しない方がいます。賃貸物件の退去日は、鍵を返却した日になります。なかなか返却してくれないと、家賃の精算に支障をきたします。

 引越の際にはなるべく立ち会い、その場で鍵を返却してもらうことをお勧めします。

4.壁に空けられた穴、窓ガラスの破損、人為的な理由によるクロスの汚損などをその場で指摘でき、トラブルの防止に資する
 敷金の精算を行う際には室内の状態を確認します。退去時に立ち会い、窓ガラスの破損、壁の穴、人為的な理由によるクロスの汚れ等の目立つ損傷をその場で指摘できれば、清算を巡るトラブルを防ぐことが出来ます。