収益用不動産を購入する際は現地訪問と物件調査が必須
先日、都内の収益用マンション建設現場近くで、不動産会社の営業担当と施主(オーナー様)らしい方が言い争いをしている現場に遭遇しました。施主と思われる方はお年寄りで、大声で怒鳴り散らしていました。
「マンション前の道路(幅)が狭すぎる。これでは車を停められない。」とか「私道の奥にあるマンションとは思わなかった。これでは目立たない。満室にならない。」、「何が何でも道路を拡げろ。」という声がはっきり聞こえました。
この施主は現場を一度も確認することなく建設中の新築賃貸マンションを購入する契約を締結したのでしょう。この方のように不動産会社の営業担当に言われるまま、現地訪問や調査を行わずに何億円もの不動産を購入する方がいらっしゃいます。
特に賃貸アパートや賃貸マンションなどを紹介された際に以下のセールストークを展開されると気持ちが焦り、現地を確認せずに購入する方が多いようです。
・安くてお買い得なので、今すぐに買付証明を提出しないと他の方に買われてしまいます。
・滅多に出ない高利回りの物件なので、この場で購入を決断してください。
・投資家さんからの問合せが殺到している物件です。現地を訪問する余裕はありません。
・不動産投資のプロは、現地を訪問することなく購入しています。
・この場で買付証明を提出されるなら大幅に値引きします。後に申し出られても値引きはしません。
現地を訪問し、物件を調査しなければ価格が適正かを判断できません。それなのに訪問も調査も行うことなく購入を決断する方が多くいらっしゃるようです。売買契約を安易に締結すると、多額の財産を失うことがあります。
最近、新聞やテレビの報道内容は増税、円安、物価高、不景気等の生活不安を煽るものが多いです。SNSやYouTube等においてインフルエンサーが展開する言説も同様です。
このため、将来が不安で仕方ない方が増えている感があります。「賃貸マンションを早く買って家賃をもらいたい」という感情に支配され、営業担当に言われるまま購入を決断しているのでしょう。
さらに施主が言っていた内容から察すると、不動産会社は重要事項説明を行っていないことになります。マンション前の道路種別(私道)、前面道路の幅員は必須説明事項です。通常、買主に説明しないことはあり得ません。重要事項説明を行っていなければ宅地建物取引業法違反です。
ターゲットになるのは事業用ローンを利用せずに現金一括で購入される方が多いようです。事業用ローンを利用する場合は金融機関によるチェックが行われます。金融機関によるチェックを避けるために現金一括で購入する方、特にお年寄りがターゲットにされるようです。
収益用不動産を購入する際は現地訪問と物件調査が必須です。現地訪問や物件調査を断られた物件は、購入しないことを強くお勧めします。また、その不動産会社を利用しないことをお勧めします。
※念のため
この賃貸マンションの建設および販売に、筆者および筆者が所属する(有)大森不動産は一切関わっていません。筆者は偶然、建設現場の近くに居合わせたに過ぎません。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません