賃貸マンション・アパートに消火器を設置していますか?(オーナー様向け)

 1棟ものの賃貸アパートやマンションを所有されているオーナー様におかれては、当該アパート・マンションが一定規模以上の大きさである場合に消火器の設置義務があります。延床面積150㎡以上の共同住宅では消火器を設置しなければならない旨が消防法および消防法施行令により定められています。

 どのような建物の場合に消火器を設置しなければならないかについては消防法施行令第10条が細かく定めていますが、とてもわかりにくいです。(一社)日本消火器工業会のWEBサイトがわかりやすくまとめています。

 消火器を配置する場合は20m以上(大型は30m)の間隔を空けないようにする本数を確保すること、各階に設置すること、床面からの高さ1.5m以下の場所に置くように定められています。

 また、2010年以前に製造された消火器は全て「旧規格」の消火器とされています。これらが設置されていても、法令上は「消火器を設置している」とは認められないので注意が必要です。

消火器を入居者に購入・設置させていませんか?

 賃貸アパート・賃貸マンションの中には共有部分(廊下、エントランス)に消火器を置かず、賃貸物件の入居者に対し、賃貸借契約の中で消火器の購入および設置を義務づけているところがあります。

 「入居者に消火器を購入・設置してもらえばオーナー様が消火器を設置する必要はありません。」等の誤ったアドバイスをする不動産会社が一部にあるようです。

 消火器の設置義務は建物の所有者、管理者にあります。入居者に購入・設置させるのは筋違いであり、入居者が購入して設置した場合は消防法および消防法施行令の要件を満たしているとは見做されません(特定共同住宅を除く)。

 それに消防法および消防法施行令は、「共用部分に業務用消火器を設置しなければならない」と定めています。入居者が購入する消火器は家庭用消火器であり、これを各貸室に設置しただけでは消防法および消防法施行令が定める要件を満たしません。

 入居者に消火器を購入、設置させても共用部分に業務用消火器を置かなければ消防法および消防法施行令違反に問われることがありますのでご注意ください。