管理不全の建物に対する固定資産税の優遇措置を廃止

※日本経済新聞のWEBサイトから引用します。掲載社の都合により元記事が削除され、リンクが切れることがあります。

空き家活用へ税優遇見直し 国交省案、規制緩和も検討

2022年12月22日 22:00

国土交通省は22日、全国的な課題となっている空き家対策の素案を示した。壁に亀裂が入るなど管理が不十分な建物について固定資産税の優遇措置を見直し、事実上の増税を検討する。空き家の活用を促すための規制緩和も視野に入れ、地域特性を踏まえたまちづくりを後押しする。

同日の有識者会議で方向性を議論した。2023年1月末に報告書をまとめる。空き家対策特別措置法など関連法の改正をめざして具体策を詰める。

住宅用地の固定資産税には特例で軽減措置が導入されている。一方で倒壊する危険のある「特定空き家」は特例から外すことができる。素案には特定空き家になる前の段階でも、管理不全の建物を対象に特例を解除する案を盛り込んだ。屋根の一部や窓が損壊している建物を想定する。

建築規制の緩和も焦点となる。中心市街地など一定区域に限定して規制を見直し、空き家を店舗やカフェに転用しやすくする手法などを念頭に置く。自治体のモデル事業を指定して支援することも検討する。

国交省によると全国の空き家は18年時点で849万戸ある。このうち賃貸・売却用などを除いた居住目的のない空き家は349万戸で急増している。

日本経済新聞

 「住宅地には建物を建てる」ことを政策として推進するため、建付地では固定資産税の減免措置が執られるようになり、現在に至っています。建付地の土地におけ固定資産税は6分の1に減免する措置が執られています。

 ところが、住人がいなくなったことから朽廃した建物が放置される事案が増大しました。「朽廃したために倒壊する恐れがある建物は取り壊すことが社会的政策として必要である」との認識が生まれたことから、このような倒壊の危険がある建物を「特定空き家」として指定して固定資産税の軽減対象から外す措置が既に執られています。そして地方自治体は「特定空き家」を取り壊すべく所有者に働きかけ、特定空き家を取り壊す施策を推進しています。

 今回出てきた案は「特定空き家」に関する制度とは異なり、管理不全であれば固定資産税の軽減措置の適用外にするというものです。朽廃していなくても、屋根や壁が一部壊れているだけでも固定資産税の軽減対象から外すという内容のようですが、所有者の中には解体費用を捻出できない方がいらっしゃいます。木造の戸建住宅における解体費用は規模により異なりますが、概ね200~400万円前後を要します。

 また、相続が繰り返されたために建物の共有者が多い場合、解体の同意を得られない(一人でも反対すると取り壊しが認められない)ことから共有者の大半が解体を希望していても解体出来ない建物があります。

 これとは別に、「住宅を取り壊して更地にすると固定資産税が6倍に跳ね上がるので支払えなくなる」として放置している方がいらっしゃいます。

 今回の施策が実行されると解体したくても他の共有者全員の同意を得られないので解体できないという方、解体費用を捻出できないことから放置している方、および建物を解体して更地にすると高額な固定資産税を支払えなくなるという方に対し、固定資産税が6倍に跳ね上がるという不利益のみを押しつけることになります。

 「特定空き家」の制度が既に設計され、政策として実施されているので今回登場した施策は「屋上屋を立てるに等しい」強引な政策であると考えます。「空き家対策」に名を借りた「固定資産税の増税策」であるとしか思えず、強い嫌悪感を抱かざるを得ません。

 この施策を実行するのであれば、施策に先立ち「解体した場合に固定資産税を支払えない方」の救済策を検討することが必要であるといえます。