地面師等に騙されないためには(不動産の購入検討中の方へ、その2)

2022年5月31日

※前回投稿した内容の続きです。

 取引に不動産会社が介在している場合でも、買主様におかれては警戒を怠らないことをお勧めします。

4.物件に関する質問をする

 売主として現れた人物が「真の売主」であれば物件の詳細を知っているはずであり、収益用不動産であればレントロールが存在するはずです。

 収益用不動産の場合、消防点検や大規模修繕をどこの業者に依頼していたか等を尋ねることも有効です。満足に回答出来ない場合は要注意です。

 「管理会社に一任しているからわからない」と回答された場合は、管理会社の社名および担当者の氏名を尋ねます。特に担当者の氏名は重要です。担当者の氏名について「わからない」、「失念した」、「後で調べて連絡する」等と言われたら要注意です。

5.売却理由と売却価格を決定した方法を尋ねる

 売却価格が相場より極めて安い場合は価格決定の根拠、および売却理由を質問します。地面師である場合、回答がしどろもどろになりがちです。

 「そのようなことを買主様が知る必要はないでしょう」などと言われたら警戒する必要があります。

6.内見を行う

 「現地訪問は必要ありません。」、「内見せずに直ぐに購入してくれる方にしか売らない」等と言われたら要注意です。物件が賃貸中で、満室であっても共用部の内見は出来るはずです。内見を拒まれたら地面師かもしれません。

 なお、売主と称する者が地面師ではない場合でも、物件に何らかの問題があるために内見を断る事案が散見されます。いずれにせよ、収益用不動産である場合に共用部の内見すら断られた場合は、その物件の購入を控えることが賢明です。

7.売主側の交渉相手が「代理人」であり、「本人」との関係が不明の場合

 大規模な物件の場合は弁護士が代理人になることがあります。しかし、個人(投資家を含む)が購入できる価格帯の物件において、「代理人」と称する者が交渉相手である場合は代理権を授与されているか、および本人と代理人との関係について質問します。

  「買主様が知る必要はないでしょう」などと言われたら要注意です。

 また、本人と代理人との関係が「親戚」と言われたら、どのような血縁関係があるのかをお尋ねします。回答を拒否する場合、および遠い血縁関係である場合は警戒が必要です。

 また、交渉相手が「代理人である」と主張する場合、代理権を授与されている旨の証明書類に本人の印鑑が捺印されており、さらに本人の印鑑証明書がない場合は信用できません。両方とも揃わない場合は契約を締結しないことが肝要です。

※2022年5月31日追記
 本人の印鑑は「実印」であることが必要です。印鑑証明書の発行日が3か月以上前の日付である場合は、新しい印鑑証明書の提示を請求して構いません。拒否されたら地面師である可能性があります。

 印鑑証明書には「すかし」などの偽造防止対策が施されています。複写機でコピーを取ると、通常はコピーに「複写」、「COPY」、「コピー」、「無効」等と表示されます。コピーに何も表示されない場合は、偽造した印鑑証明書である可能性が極めて高いです。