競売物件内に残置された家具などの不法廃棄で逮捕される事件が発生

2023年11月27日

 産経新聞-iZaの記事から引用します。

※掲載社の都合により元記事が削除され、リンク先が切れることがあります。あらかじめ御了承願います。
※2022年5月12日追記:元記事が削除されたのでリンクを外しました。

※2023年11月27日追記:名誉権の問題があるため、容疑者の氏名を修正しました。

不用な家具など不法投棄の疑い 不動産業の男逮捕 座間署
2022/2/2 17:58

不用な家具などを不法投棄したとして、神奈川県警座間署は2日、廃棄物処理法違反の疑いで、同県海老名市東柏ケ谷の不動産業A容疑者を逮捕した。「捨てたのではない」などと容疑を否認している。

逮捕容疑は令和2年5月4日午前8時5分ごろから翌5日午後7時45分ごろまでの間、2回にわたり、自身が競売で落札した不動産物件の室内に残されていたたんすやテレビなどの家具や家電などを、同県座間市広野台のリサイクルショップ駐車場に不法投棄したとしている。

同署によると、同店の男性経営者が防犯カメラで犯行の一部始終を確認し、110番通報。A容疑者はこれまでの事情聴取に「店に売るつもりで置いた」などと説明しているが、事件当時は大型連休の期間中で同店は営業しておらず、同署は捨てたとみて捜査を進めていた。

産経新聞iZa

 逮捕されたのは不動産業者であるとのことで、驚きです。不動産競売において絶対に行ってはいけないことを行ったわけです。産業廃棄物業者に処理を依頼する費用を惜しみ、不法投棄したのであれば論外です。

 不動産競売において物件を落札した場合でも、物件内部の動産に対する所有権は、そのままでは落札者に移転しません。

 動産の所有権は依然として物件の前所有者にあるので、連絡出来るようであれば転居先に運び出してもらうか、所有権を放棄することを承諾する書面に署名・捺印をしてもらい、所有権が放棄されてから処分することになります。

 所有権が放棄された場合は産業廃棄物処理業者に連絡し、処分してもらいます。

 前所有者に連絡できない、または前所有者が動産の撤去に応じず所有権放棄にも応じない場合は地方裁判所に引渡命令の発令を請求します。引渡命令が発令されたにもかかわらず前所有者が何も対応しない場合は強制執行を申し立て、動産を撤去します。強制執行により撤去した場合は、倉庫に1か月保管した後に産業廃棄物業者により処理されます。

 なお、所有権の放棄を受けず、裁判所に引渡命令の発令、強制執行等の手続きを一切行うことなく物件内の動産を持ち出して廃棄すると、前所有者からを損害賠償を請求されることがあります。実際に、賠償を命じた判例があります。

 今回逮捕された不動産業者が前所有者による所有権の放棄を受けていたかはわかりません。万が一、所有権の放棄を受けていたのであれば、 産業廃棄物処理業者に連絡して処分してもらうべきでした。

 また、 前所有者が動産の撤去に応じず所有権の放棄にも応じないのであれば裁判手続きに移行するべきでした。

 「ケチは身を滅ぼす」という言葉がありますが、この事件の犯人は逮捕されて実名が報道されたことにより身を滅ぼしてしまいました。

 不動産競売に入札する際には手持ちの現金の全てを使用して入札するのではなく、落札後に要する経費を勘案し、ある程度残して入札することを強くお勧めします。入札前には想定していなかった多額の費用が発生することがあるからです。