所有する賃貸物件に泥棒が入った場合(オーナー様向け)

 賃貸住宅の運営を行っていると、思いがけないことが起きます。入居者から「仕事のために部屋を留守にしていたところ、泥棒が侵入し、部屋を荒らされ、金品を奪われた」という、窃盗事件発生の連絡もその一つです。

 現状は、オートロックを備えている物件でも窃盗事件が頻発しています。宅配便の配達員等であると偽り住人にオートロックを解錠させる、入居者がオートロックを解錠した際に後からつけて侵入する、清掃業務を行っている管理人がオートロックを開放している際に侵入する、等の手口があります。

 古いマンションでは表玄関のみにオートロックがあり、裏側の通用口は解錠している場合があります。解錠される理由は、屋外の清掃を行う際に清掃用具の出し入れを容易にする目的であることが多いです。

 入居者から窃盗犯侵入の連絡を受けた際は、警察への通報の有無を確認し、通報していなければ直ちに通報するように案内します。

 警察が到着すると、入居者の部屋、共用部において現場検証が行われます。併せて証拠品の収集、入居者および近隣の部屋の住人への聴取、管理会社およびオーナー様への聴取が行われます。

 オートロック付きのマンションでは、オートロックの状態および運用状況を訊かれると思います。管理体制、通用口の施錠状況等についても訊かれます。防犯カメラがある場合は、全てのカメラにおける撮影データの提出を求められると思います。

犯人が逮捕されても一件落着ではない 
 防犯体制について、窃盗の被害を受けた入居者から説明を求められることになります。

 最も悪いのは窃盗犯人ですが、オーナー様、管理会社、入居者における過失の有無も問題になります。入居者において部屋の扉を施錠しない等の過失があれば、入居者の落ち度が大きいと考えられるのでオーナー様および管理会社は免責される可能性が高いです。

 しかし、通用口を常時施錠していなかった、故障によりオートロックが開いたままの状態であることを知りながら長期間放置していた等の場合は、オーナー様および管理会社が責任を追及される恐れがあります。

 最近は、賃貸マンションにおける最上階の部屋が狙われる事件が増えています。屋上からロープを利用し、すぐ下のバルコニーから侵入してガラス扉を壊し、侵入する手口です。

 このような侵入方法を防ぐためには、屋上への立ち入りを物理的に不可能にする、バルコニーに面した方向に設けられた柵を高くする等の方法が考えられます。費用が発生しますが、仕方ありません。

 通用口がある場合は、施錠しない時間帯を作らないことが重要です。清掃器具を屋外に持ち出して作業を行っている間は施錠しないこと等を容認していた場合は、改める必要があります。

 その他には共用部における防犯カメラの設置台数を増やすことが考えられます。表玄関および通用口だけではなく、共用廊下や階段にも設けることをお勧めします。

 窃盗犯は、オートロックおよび通用口の周辺に防犯カメラがあることを知っていますので、カメラの方向を見ないで侵入します。このため、防犯カメラがオートロックや通用口の周辺にしか設けられていないと、犯人の頭部や顔を撮影できない恐れがあります。防犯カメラが共用廊下や階段にも設置されていると、犯人の早期検挙に役立つことが多いです。