設備を更新し続けないと入居者が決まらない(その4、外観と内装)

賃貸物件の入居先を探しているお客様が来店された際には、御希望の条件をお尋ねします。現地を案内して建物の前に立った瞬間、「この物件には入居しません。内見はしなくて結構です。」と言われることがあります。また、お部屋に入っていただいた瞬間、「入居しません。帰ります。」と言われることがあります。

本日は、入居先を探している方から嫌われる物件について書きます。いくつかのパターンがあります。以下の内容の一つでも該当する場合は、早急に改善することを強くお勧めします。

1.経年劣化に対する補修が行われていない物件
外壁タイルの何枚かが剥がれ落ちた状態で放置されているとか、外壁に亀裂が入った状態で放置されている建物があります。外壁の補修をせずに放置すると、耐震性が劣化する原因になります。補修費を惜しみ、修繕を怠っていることが外部から容易にわかる物件では、入居者はなかなか決まりません。

2.建物の廊下や階段が臭う物件
建物の玄関から入ると、廊下や階段が異様にかび臭い物件があります。共有部の通気性が良くなく、換気しにくい構造なのでしょう。築年数が経過した古い物件に多いですが、換気装置の導入により改善できることが多いです。

3.入居者に対する配慮が足りない物件
マンションの玄関前にオーナー所有の大きな自家用車が停められており、通路が塞がれている物件があります。建物に出入りするためには通路上の境界壁と車とに挟まれた狭い部分を通る必要があります。これでは入居先を探している方の印象は良くありません。

本来は屋外に設置しなければならない給湯器を室内に設置している物件があります。正規のガス工事店に依頼して機器を据え付けたとは思えません。怖いのは一酸化炭素中毒を引き起こす危険があることです。
オーナーに指摘しても「あっ、そうなの。不動産屋さんはごちゃごちゃ言わずにお客さんを付けてくれればいいんだよ。」で終わりです。良心的な不動産会社であれば、このような物件は紹介を控えるので、入居者がなかなか決まらない状況が長期間続くことになります。

4.オートロックやエレベーターの故障を放置している物件
修理費がかかることから故障したまま放置している物件があります。オートロックのセンサーが故障しているためにドアが突然、それも頻繁に開閉する物件に遭遇したことがあります。開いたドアを通行している最中に突然ドアが閉まり、誰もいないのに突然開くという状態でした。誰の目から見ても故障です。お客様は「このような物件に人を住まわせようというのか。馬鹿にするな。」と言ってお帰りになりました。

管理している不動産会社に尋ねたところ、「修理費が高額であることからオーナーは支払えないと言っている。何としても修理を承諾しないので放置している。」とのことでした。しかし、修理しなければ空き部屋は埋まりません。それ以前の問題として、事故が起きたら多額の損害賠償を請求されます。

また、エレベーターが故障しているのに放置されている物件に遭遇したことがあります。お客様を連れて内見している際に、階の途中で停止したことがありました。改めて別の階のボタンを押すと、今度は正常に動きます。当然ですが、お客様は「このような怖い物件は借りない。」と言ってお帰りになりました。

オーナーは、「多額の費用がかかるので保守契約は依頼しない。お金が無いのだから仕方ない。」と言います。しかし、オートロックやエレベーター設備に関する点検費および維持費は、どのような理由があっても支払を怠ることは許されません。

入居者の生命および身体の安全に関わるものであり、点検や修理をしないことは、賃貸借契約で定められている、入居者を平穏かつ安全に生活させる義務を怠っていることになります。この状況で事故が発生した場合は賃貸借契約の不完全履行が原因であることから、高額な損害賠償を請求されます。

どうしても点検費や修理費、保守契約の費用等を支払えない経済的な事情がある場合は、物件の売却をお勧めします。

5.お部屋の内部が荒れている物件
原状回復工事、およびリフォームは入居者が決まってから行うというオーナーがいますが、これでは入居希望者の心証が悪く、入居者が決まる物件でも決まらないことになります。

便器の便座が破損しており、エアコンは全く動作せず、コンロも壊れた状態で放置されている物件に遭遇したことがあります。これでは内見を行っても無意味です。

6.窓の施錠が出来ない物件
窓やバルコニーの扉を施錠できない物件があります。防犯上は大問題なのに、放置するオーナーがいます。入居先を探している方は、このような箇所も入念にチェックしていますので、早急な対応が必要です。