賃貸物件の入居者を募集する際に注意するべき事項(その2)

※昨日投稿した内容の続きです。

5.特徴を出したいとして、違和感が強い内装にしていないか
 女性専用の賃貸アパートであるという特徴を強調するために、室内の全てのクロスをピンク色にし、トイレの洋式便器もピンク色、洗面化粧台もピンク色、キッチンユニットもピンク色のものに統一した物件に遭遇したことがあります。女性専用とはいえ、やり過ぎです。これではお客様の入居意欲を後退させてしまいます。

 同様に、単身者専用の賃貸アパートやマンションで内装を黒一色に統一した物件があります。「黒」は最近の若者に好まれる傾向があり、黒色の衣類が流行しています。しかし、賃貸物件の内装において好まれる色が、衣類で流行している色と同じであるとは限りません。建物の内部が黒に統一された物件は、いわゆる「暗闇」を想起させることから、大半のお客様は入居をためらいます。

6.前の入居者が残した電化製品および家具類がそのまま置かれている
 電化製品および家具が、いわゆる「残置物」として残されている物件があります。多いのはテレビ、洗濯機、テーブルです。

 前の入居者が退去する際に、引越代および廃棄費用を節約したいとして置いていくことを希望することがよくあります。そして賃貸経営を始めてから間もないオーナー様の中にはこれらの物品を室内に置いていくことを認めてしまう方がいらっしゃいます。

 入居先を探している方の多くは、他の物件から引っ越してきます。ほとんどの方がテレビやテーブル等を既に所有しており、引越の際に運び入れます。室内に以前の居住者による「残置物」が存在すると、入居意欲を損ないます。

 入居者が退去する際は、全ての家財を運び出すことをお願いしてください。「どうしても置いていきたい。」と強く主張する場合は、「全ての家財を搬出しないと部屋を明け渡したことにならない。家賃は運び出しが完了する迄発生する。」と告げることにより、ほとんどの方は搬出に同意します。

7.以前の入居者が使用していたガステーブルがそのまま残されている
 電気コンロ、IH型コンロ、システムキッチンを採用している物件にはあてはまりませんが、以前の入居者が使用していたガステーブルがそのまま残されており、「これは設備の一つです。」と言われることがあります。

 毎日の食事を作るためのガステーブルが汚く、「設備」なので入居者において交換することができないのでは、入居意欲を損ないます。ガステーブルは、やや上位の機種でも2~3万円で購入可能です。前の入居者が退去した際に新品に入れ替えることにより入居先を探している方が好感を抱き、入居意欲を促進する効果があります。

 また、ガステーブルを置くための台がガラ空きで、ガステーブル(コンロ)を設置していない物件がありますが、新品のガステーブルを設置することをお勧めします。入居希望者は初期費用について敏感です。

8.エアコンが設置されていない
 エアコンが設置されていない物件に遭遇することがあります。「エアコンが欲しければ入居者において購入して設置してください。」というスタンスの物件がありますが、北海道や標高が高い地域を除き、エアコンは「設備」としてオーナーの費用負担で設置するべきであると思います。

 気温が上昇していることから、室内にエアコンを設置しないことはまず考えられません。入居希望者は初期費用について敏感です。高額な設置費用が必要な物件は、入居先の候補から外れます。

 それに、入居者が入れ替わる度にエアコンの脱着が行われると、壁面における穴の位置が変えられることがあり、壁が傷む原因になることがあります。

 入居者の中にはエアコン設置費用の支出を惜しみ、技術がないのに自分で取り付ける方がいます。素人がエアコン設置工事を行った場合、水漏れが発生して室内を水浸しにしてしまうことがあります。

 エアコン設置工事が不適切であったことが原因で室内が水浸しになった物件に遭遇したことがあります。フローリング床の上に漏水したことにより床板が変色し、一部は剥がれていました。

 建物を傷つけないためにもエアコンは「設備」として、オーナーの費用負担であらかじめ設置しておくことをお勧めします。

※明日の投稿に続きます。今回の記事は明日で終わりにする予定です。