木造戸建住宅のリノベーションを行う際における注意事項

木造戸建住宅にお住まいの方がリノベーションする際には注意しなければならないことがあります。

壁クロスの張り替え等であれば問題はないのですが、大規模なリノベーションについては建築会社や工務店から勧められても絶対に行うべきではないものがあります。

今日は、その中でも特に注意を要する内容について書きます。

1.2部屋以上をつなげて1部屋にするリノベーション
3LDKの間取りを1LDKにしたい等のリノベーションには注意が必要です。木造戸建住宅の場合、柱や梁を一部除去して部屋をつなげる方法を提案されることがありますが、耐震強度を大きく下げる原因になることが多いので注意が必要です。

ある腕の良い棟梁に訊いたところ、柱や梁を一部除去すること自体は難しくないとのことです。しかし、建物を設計する際に、建築士は建物の耐震強度を計算しています。2部屋以上をつなげるために柱や梁を撤去すると、強度が低下することから大地震の際に建物が壊れることがあります。問題なのは、それを知りながら柱や梁の撤去を内容とするリノベーションを提案する建築会社や工務店が多くあることです。

このような建築会社や工務店は、強度計算を改めて行うことはしません。単にお客様が言われるとおりに施工して利益を得ることだけを考えていますので、リノベーション後に大地震などの災害が発生した際には悲惨な目に遭うことがあります。

また、このようなリノベーションを行った建物は、売却する際にはかなり低く査定されます。この点からも推奨できない内容です。

2.バルコニーを独立した部屋にしてしまうリノベーション
バルコニーに壁や窓を設け、新しい部屋にしてしまうリノベーション(いわゆる建て増し)を行うことにより、建築基準法において定められている建ぺい率および容積率に違反する建物にしてしまうことがあります。

新築の建売住宅を購入し、2~3か月が経過したところでこのようなリノベーションを行う事例をよく見かけます。しかし、このリノベーションを行った後の建物における建ぺい率または容積率が、当該地域で建築基準法が定めている建ぺい率や容積率を超えると、いわゆる違法建築物になります。

建物の建築前に建築確認申請を行い、さらに完成検査を行った場合でも、後からリノベーションを行うことにより違法建築物にしてしまうことがよくあります。困ったことに、建築会社や工務店の中にはこのことを説明しないところがあります。

違法建築物であることが発覚した場合は、行政(特定行政庁)から違法部分の是正を求められることがあります。行政に発覚して実際に是正を求められることは多くないようですが、近隣住民からの通報などにより発覚することがあります。

また、このような違法建築物は、売却の際に支障をきたします。大半の金融機関は、違法建築物の購入に対する融資をしません。購入希望者が住宅ローンによる融資を受けられないことは、物件の売却が出来ないことにつながります。融資を成立させるためには違法部分を取り除き、元の状態にすることを求められます。

3.1階部分を拡張するリノベーション
リビングが手狭であるとか、子ども部屋を広くしたいということで、1階の部屋を広げる、または新たな部屋を設ける際は注意が必要です。

先のバルコニーにおける例と同様で、リノベーションを行った建物の建ぺい率および容積率が、当該地域で建築基準法が定める建ぺい率または容積率を超えると違法建築物と扱われます。

前述したとおり、大半の金融機関は違法建築物に対する融資を行わないので、売却の際に支障をきたすことになります。