春先は、おかしな問い合わせが増えます(賃貸物件)

2021年1月7日

ご承知の通り、春先は賃貸物件を探されるお客様が増えます。たまに困った内容の問い合わせをされる方がいらっしゃいます。反面教師にしていただければ幸いです。

1.内見の際に立ち会う社員を若い女性にするように要求する若い男性
内見の申し込みの際に、たまに以下のようなやりとりがあります。本当に辟易としています。

若い男性  :「インターネットで見た賃貸物件の内見をしたいのでお電話しました。○○町の△△マンション□□号室です。」
私または社員:「ありがとうございます。」
若い男性  :「ところで、内見の際に立ち会う方を若い女性にして欲しいのですが、できますか。」
私または社員:「あいにく、この物件の担当は男性です。経験豊富なので何でもお尋ねください。」
若い男性  :「じゃ、いいです。他の不動産会社に頼みます。」
        と言って、電話をすぐに切る。

お客様が女性であり、内見の際に女性社員を指定するのであれば納得できます。しかし、若い男性客が内見の際に立ち会う社員として若い女性の従業員を指定するのは、どのような理由からなのでしょうか。束の間のデート気分を味わいたいのかもしれませんが、不動産会社の経営者としてはどうしても最悪の事態を考えてしまいます。

昨年の4月に、内見の際に不動産会社の女性従業員が背後から男に包丁で刺され、金品および車を強奪されるという痛ましい事件が横浜で発生しました。被害者は重傷を負い、犯人は強盗殺人未遂で逮捕されました。犯人は物件を借りる意思は全くなく、金品を強奪することを目的として内見を申し込んだとのことです。

その他にも、客として来店した男が内見の際に女性社員にわいせつな行為等を行った事案が数多くあります。

このような状況で女性社員が被害者になると心に大きな傷を負い、ほぼ確実に退職します。不動産会社にとっては重大な損失です。

不動産売買および不動産仲介には内見が必須ですが、互いに知らない若い男女を密室の中で二人きりにさせる状況を作ることは危険なので、不動産会社としては対策をしなければいけなくなっています。

前述した横浜の事件以降、若い男性から内見の立ち会いを若い女性社員にすることを要望されても応じない不動産会社が大半であると思います。しかし、それでもこのような電話がたまにかかってくるので閉口しています。

2.越境通学をさせたいということで強引に迫る客
数年前の出来事ですが、私の会社の近くにある公立小学校の卒業生の多くが難関大学に合格するという記事が、週刊誌に掲載されたことがあります。このような記事が掲載されると、近くの不動産会社が迷惑を被ります。

「来年の春から小学生になる子供がいる。目黒区立○○小学校に越境通学をさせたい。しかし区役所が許可してくれないので、お宅の会社が管理する賃貸物件の一室を借りていることにして住民票を目黒区内に移し、通学させたい。そこで、架空の賃貸借契約書を作成して欲しい。謝礼として30万円を支払う。」と言ってこられた方がいます。

どこから越境通学をさせるつもりなのかをお尋ねしたところ、電車で2時間半ほど要する地域でした。小学一年生を毎日通学させることは困難です。

数日後にも別の方から同じような問い合わせがあり「謝礼として20万円を出すから架空の賃貸借契約書が欲しい。」と言います。この方も、電車で片道2時間以上かかる地域から越境通学させたいと言います。

架空の賃貸借契約書を発行する行為は、公正証書原本不実記載罪を構成する犯罪行為です。このような行為を不動産会社が行えば間違いなく事務停止処分になり、最終的には宅地建物取引業免許が取り消されることになります。当然ですが、20万円や30万円の謝礼で請け負える話ではありません。

それにこれから入学する小学生に越境通学をさせるのは心身共に負担が大きすぎます。電車で片道2時間半ほどかかる地域から小学一年生を毎日通学させることは無理です。