3月決算期を前にして、収益物件の売物件が増加

 3月の決算期が近くなっています。あまり報道されていませんが、企業が所有する収益用不動産、主に1棟ものの賃貸マンション、事業用ビル、ホテル等を手放す動きがあります。

 その理由の一つは資金繰りです。コロナ禍の際の行われたいわゆるゼロゼロ融資の返済を求められた企業が手放しています。

 もう一つの理由はポートフォリオの見直しです。コロナ禍のために減少した売上げをカバーするために収益不動産を購入した企業が、コロナ禍の終息に伴い売却しています。

 コロナ禍になってから、中小零細企業だけではなく、大手企業も先を争うように収益用不動産を購入しました。人気が集中したことから東京都23区内における表面利回りはかなり低く、3%台の物件が増えました。

 コロナ禍前に本業で大きな利益を得ていた企業から見ると物足りないと言えます。コロナ禍が終息した以上、利回りが低い収益用不動産をこのまま保有し続けても仕方ないと考えても当然です。売却後は売却代金を本業に投資することを考えています。

 また、コロナ禍になる前から収益用不動産を運用していた企業があります。コロナ禍のために価格が大きく上昇したことから利益を一旦確定し、新たな事業に投資する動きがあります。

 大企業が売却する物件の中には売却価格10億円どころか100億円を大きく超えるものがあります。50億円前後の物件も数多くあります。

 コロナ禍のために一旦店仕舞いをしたホテルも数多く売り出されています。立地が良好で建物が比較的新しい物件が数多くあります。しかし、価格がかなり高額である上にオペレーターが不在であることが多く、個人投資家には不向きです。

 筆者も高額な収益物件の客付けを数多く依頼されていますが、いずれも個人投資家が購入できる価格帯ではありません。個人投資家が購入できる価格帯の物件はそれほど増えていませんので値下がりは期待薄です。