事故物件や心霊スポット等の紹介はしません

 梅雨が明ける時期になると、ほぼ毎年のように事故物件や心霊スポット、朽廃した建物に関する問合せがあります。

 筆者の不動産会社に「新しい心霊スポットとして紹介できる事故物件を探しています。教えてください。」等と電話やメールで問合せをする方がいます。

 「テレビのバラエティー番組で紹介したいので、幽霊が出る噂がある事故物件を教えてください。」、「朽廃した建物でロケをしたいので教えてください。」等の依頼もあります。問合せは、主にテレビ局の番組作成を下請けで請け負う業者、週刊誌および雑誌の編集者、YouTuberからあります。

 筆者の会社では「紹介できる物件はありません。」と回答し、全てお断りしています。

 しかし、「紹介できる物件がないとは思えません。どうしても紹介して欲しいです。謝礼をお渡しする用意があります。」などと言い、電話口でしつこく粘る方がたまにいます。

思い上がりが甚だしい

 事故物件の所有者は、ほぼ全ての方が苦しんでいます。事故物件になると心理的瑕疵がある物件として扱われるため、不動産の価値が大きく下がります。それに近隣の住民から奇異な目で見られるからです。

 事故物件の所在地は人が亡くなられた現場であり、いわゆる「見世物」ではありません。「事故物件を心霊スポットとして紹介したい。」という言葉は事故物件の所有者や近隣住民の心を大きく傷つけます。このことは、新しいネタの発掘を上司から迫られている編集者やYouTuberにはわからないのでしょう。

 このような問合せをする編集者およびYouTuberは「幽霊はこの世に存在するわけがない。」とか「何か起きたら逃げれば良い。」と安易に考えているようです。

 「目に見えないもの、科学的に説明できないものは存在しない。」と頑なに信じ、神仏や霊魂に対する畏敬の念は全くないのでしょう。そうでなければ事故物件を「見世物」にする発想が浮かぶことはありません。

 不動産に関する仕事を長年行っていると、現代科学では決して説明できない現象に遭遇することがあります。守秘義務があるのでここには書きませんが、筆者も事故物件またはその近くで不思議な現象に遭遇したことが何回もあります。

朽廃した建物は危険

 「ホラー要素を盛り込んだドラマの撮影に使用したいので朽廃した建物を紹介してください。昭和初期または大正時代に建てられ、壊れかかった古い建物を希望します。」等の問合せもあります。

 しかし、朽廃した古い建物はいつ崩れてもおかしくありません。少しの振動でも屋根が突然崩落する、柱が根元から折れて建物全体が崩壊する等の危険があります。このようなことが起きれば必ず死傷事故になります。

 この問合せをしたドラマ撮影の担当者は、朽廃した建物の怖さを理解していないのでしょう。朽廃した建物は極めて危険であり、対応を誤ると死亡事故に直結します。朽廃した建物は解体するしかなく、映画やドラマのロケ等に利用することは危険です。