東急不動産HD、東急プラザ銀座を売却

 日本経済新聞のWEB版記事から引用します。

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東急不動産HD、東急プラザ銀座を売却 特別損失211億円
2023年3月3日 22:04 (2023年3月3日 23:47更新)

東急不動産ホールディングス(HD)は3日、商業施設「東急プラザ銀座」(東京・中央)を売却すると発表した。運営は事業会社である東急不動産が続け、施設名称は変わらない。譲渡価格は非開示だが2022年3月末の簿価は1185億円で、23年3月期に211億円の減損損失を計上する。

三井住友トラスト・パナソニックファイナンスに4月5日に売却する。東急プラザ銀座で得られるテナント収入などの受益権を三井住友トラストに譲渡する。長期経営方針で掲げる事業および資産ポートフォリオの入れ替えの一環。

東急プラザ銀座は2016年に開業した地上11階建て地下5階建ての大型商業施設。東京メトロ銀座線・銀座駅の近くに位置し、飲食やファッションなど多様なテナントが入居している。開業時から外資系ブランドも参入するなどにぎわいを見せていたが、新型コロナウイルス感染拡大直後は外出規制の影響もあり客足が伸び悩んでいた。

~以下、略~

日本経済新聞

 都心、特に山手線の内側にあるエリアに立地する商業施設ビルはテナントの退去が続出しています。原因はコロナ禍の長期化による大不況です。

 コロナ禍による人出の減少により大半のテナントにおいて売上げおよび利益が激減し、賃料を支払えなくなっています。テナントの運営主体が大企業であっても大赤字のままで、現在も業績が好転しないころが多い状況です。

 この状況でビル所有者がテナントの賃料値上げを提案した場合、大半のテナントは「値上げするなら退去する」と回答するしかありません。閉店によるイメージダウンがあっても「会社を存続させるために撤退する」と判断する企業が増えています。

 コロナ禍になる前は閉店によるイメージダウンを恐れ、大半のテナントは賃料の値上げに応じていました。しかし、最近は様変わりしています。

 商業ビルの価値は、テナントの入居状況と賃料収入により決まる部分が大きいです。いくつかのテナントが撤退して満室ではないところが多く、残っているテナントに対する賃料の値上げも困難なので、利回りはかなり低いのが現状です。

 それに一部のテナントが撤退して空室である場合は満足な収入を得られないので利回りが低く、査定価格は大きく下がります。

 このため、都心の商業施設ビルの売却価格はかなり安くなっています。商業施設ビルの運営者としては損切りをしてでも安く売却し、利回りが良好な物件に買い替えてもおかしくありません。合理的な判断と言えるかもしれません。

 問題は、このような動きが郊外や地方都市に波及するかです。郊外には大型商業施設が数多く立地しているエリアがあります。空きテナントだらけになった商業施設ビルは利用価値がありません。

 売却価格をかなり安くしても売れ残ることが容易に想定され、この場合は施設自体が完全に閉鎖される恐れがあります。

 郊外や地方都市では土地の価格が安いので、土地の売却代金だけでは建物の取り壊し費用を捻出できないことがあります。この場合、閉店した商業施設ビルがそのまま放置され、いずれは廃墟になる恐れがあります。

 一日も早い景気回復が望まれます。