民法改正、越境している竹木の枝を自分で切除できます

 いわゆる空き家問題が社会問題となっています。朽廃した家屋によく見られるのは、敷地内に雑木が立ち並び、隣地に枝が伸びていることです。

 誰も居住しなくなってから何年も経過している戸建住宅の隣家では深刻な問題であり、葉や花びらが隣家の敷地に落ち、散らばることがあります。さらに屋根の上に落ちて雨樋を詰まらせ、修理費用が発生する等の問題も起きています。

 また、台風などの暴風が吹いた際に木の枝が揺れ動き、隣家の窓ガラスを突き破る等の被害を発生させることがあります。暴風で折れた枝が落ちて建物を壊す恐れもあります。

 今回の民法改正が行われる前は、隣家から木の枝が伸びて敷地に越境している場合には木の所有者に切ってもう必要がありました。しかし、2023年4月1日以降は一定の条件を満たせば所定の手順を経ることにより自ら切除できるようになります。

 最初に木の所有者に切除するように求める必要があります。それでも切除に応じない場合は以下の要件を満たせば切除できます。

・切除を催告して約2週間が経過しても切除しない場合。
・隣地の所有者が不明か、氏名が判明していても居所がわからない場合。
・台風の直後で枝が落下する危険がある等、事態が急迫している場合。

 枝木の切除は借地権者、地上権者、永小作人でも可能です。

 木の枝を切るために隣地に立ち入る場合は、隣地所有者の負担が最も少ない日時、方法、場所を選択しなければなりません。また、原則として事前の通知が必要です。ただし、隣地の所有者に連絡が付かない、または事態が切迫している等の場合は事後の通知でも構わないとされています。

 切除に要した費用は隣地所有者に請求できますが、支払に応じない場合は民事訴訟などで請求することになります。

 また、切除した枝木の所有権は切除した者に移転します。従って、切除した枝を廃棄する際に発生する費用は切除した者が負担することになります。

 より詳しい説明が必要な方は、弁護士ドットコムの記事を参照願います。

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