住友不動産が不動産所有者に対するダイレクトメールを全廃

日本経済新聞のWEBサイト記事から引用します。

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住友不動産がDM全廃 年60億円削減、ネット広告に移行
2023年1月19日 20:30

住友不動産は土地や住宅を持つ人に送っていたダイレクトメール(DM)を全廃した。個人情報の取り扱いが難しくなったことに加え、営業効率の向上で働き方改革を進める。投げ込みチラシの廃止と合わせ、削減した年間60億円程度の経費を、動画などネット広告や人工知能(AI)を使った査定などのデジタル戦略に投じる。

~以下、略~

日本経済新聞

 土地や住宅を持つ人に対する大手の不動産会社からのダイレクトメールおよび投げ込みチラシには辟易としている方が多いと思います。ダイレクトメールを送付する費用は馬鹿になりません。封書の場合、1通あたり150~350円の費用がかかります。仮に100万通を送ると費用は億の単位になります。

 投げ込みチラシは不動産会社の従業員が行うことが多いのですが、何万通もの資料を印刷する費用は莫大です。各家庭の郵便受けに投函する要員に支払う人件費もタダではありません。

 現在、不動産情報の多くはネット経由で得ることが出来ます。ダイレクトメールおよび投げ込みチラシは費用対効果の面で極めて非効率であり、さらに膨大な紙資源の無駄であると言えます。

 そればかりではありません。ダイレクトメールの配布先は不動産の登記事項証明書から調査しているものと思われますが、管理しなければならない個人情報の量は莫大です。万が一漏洩したら侵害賠償責任を負わなければならなくなります。

 これを避ける為には個人情報を管理するコンピューターシステムを常時監視し、継続したメンテナンスを行う必要があります。様々なマルウェアが登場していることからシステムの維持費は膨れ上がる一方です。

 膨大な個人情報を保管するだけでも莫大な費用が発生することからでシステムの維持を断念したものと思われます。

動画広告の可能性

 掲載記事によると、今後は動画広告に力を入れ、AIによる査定を推進するとのことです。しかし、動画というと現在はYouTube一択の世の中です。YouTubeでヒットする動画はスポーツ、エンタメ、アニメ、動物による癒やし動画であり、不動産に関する動画を作成してYouTubeに公開してもヒットは期待できません。ましては広告動画に興味を示す方はそれ程多くないのではないかと思います。

 このため、作成した動画は自社のWEBサイトに埋め込むことになります。この場合、自社のWEBサイトにお客様を誘導する手段を検討する必要があります。また、WEBサーバーの帯域容量を大きくする必要があり、多額の費用が発生します。 

 「これからの広告手段は動画である」という風聞がありますが、動画は見るのに時間を要します。視聴者が有する可処分時間は限られています。動画広告を普及させる上ではこの点も問題になりそうです。