購入したい収益用不動産が見つからない方へ

 「収益用不動産を購入したいのでお薦めの物件があれば紹介して欲しい」という御要望をよく受けます。その際に「他の不動産会社に依頼していたが、希望する条件に合う物件がどうしても見つからない」と言われることが多いです。

 その多くは「表面利回りが8%以上ある新耐震かつ駅近の1棟マンションが欲しいが、全く売っていない。東京の山手線の内側で何とか探して欲しい」というものです。

 このブログでは繰り返し述べていますが、新型コロナウイルス感染症の流行により、東京都内では多くの企業が飲食業や物品販売業から不動産賃貸業への業態変換を図りました。収益用不動産の価格は急上昇し、都心で表面利回り5.5%を超える収益用不動産はほとんど存在しない状況です。

 また、利回りが低下したことから売物件の数が激減しています。数年前は表面利回り8%~10%以上の物件が数多くありました。このような物件を所有されている方が、駅近などの条件の良い物件に買い替えたいと思っても、買い替えた途端に利回りが激減して収入が減ることになります。これでは買い替えの意欲が湧かず、結果として売り物件の数が激減する現象が起きています。

 2023年に竣工予定の物件の中には表面利回り2%台の物件があります。表面利回りはどんどん低くなる一方です。都心の物件は表面利回りが低いので多摩地区、または川崎市および横浜市の物件を薦めていましたが、こちらも表面利回りが低下しており、満室時の想定利回りが8%に満たない物件が増えています。

 もはや都心で新耐震かつ表面利回り8%以上の駅近物件を探すことは著しく困難です。都心に限定して収益用不動産を購入する際は、表面利回りが5.5%未満になることを妥協しなければならない状況です。

今後、物件価格は下がるか

 著名人やインフルエンサー等がネット動画で「大不況により不動産価格は大きく値下がりするから今は買わない方が良い」等と述べています。このため、お客様から「少し待てば物件価格が下がるのではないか」という質問をよく受けます。 

 しかし、「今回のコロナ禍に限らず、将来もパンデミックが発生する恐れがあるので余剰資金で収益用不動産を購入して備えたい」という大企業が増えています。

 また、円安が進行したことから海外の投資会社が日本の収益用不動産を購入するべく動いています。現在は1ドル135円前後ですが、コロナ禍になる少し前は1ドル106円前後でした。ドルベースで見た場合、日本の不動産はコロナ禍になる前より2割以上(1-106÷135=0.21)も値下がりしました。

 円安の際に収益用不動産を購入し、円高になった際に売り抜ければ大きなキャピタルゲインを得られます。10月20日頃は1ドル150円でしたが、12月になってから135円前後で取引されています。

 海外勢が10月20日頃に1ドル150円の際に購入した収益用不動産の価格(ドル基準)は、1ドル135円前後になったことから1.11倍になりました(150÷135=1.11)。1か月半寝かせただけで10%以上も値上がりしています。

 このような状況なので、収益用不動産の価格が近いうちに大きく下がることは考えにくいです。

解決策

1.都心にこだわらず、探索エリアを広げる

 高利回りを追求したい場合は、狭いエリアに限定せずに探すしかない状況です。郊外や地方都市であれば高利回りの物件に出会えることがあります。満室に近い物件であれば、地元の管理会社に物件管理を委ねたとしても都心の物件よりも高利回りで運用できることが多いです。

2.都心に広い戸建住宅を所有している場合

 実際に行える方ばかりではないのですが、都心に広めの戸建住宅をお持ちの方、または都心の戸建住宅を相続した方であれば収益用不動産に建て替える方法があります。土地の価格が安かった時代に購入した戸建住宅であれば、土地の価格が安いことから表面利回りは高くなります。都心では、広くて古い戸建住宅を1棟アパートまたは1棟マンションに立て替える事案が急増しています。 

 ただし、住宅ローンの返済が完了していないと金融機関が建て替えを承諾しないことがあります。