円相場はやや円高傾向ですが、建築資材価格は...

 ご承知の通り、円相場は少し前に1ドル150円を突破しました。ところが、ここ数日の間はやや円高になり、1ドル138~140円前後で推移しているようです。円高シフトの原因は米国および中国にあるようです。 

 現在、中国は徹底したゼロコロナ対策を行っています。工場においてコロナの感染者が一人出ただけでも、その工場は全て操業停止になります。また、マンションでコロナ感染者が一人発生しただけでもマンション全体が封鎖され、理由の如何を問わず外出した者は逮捕されるとのことです。

 封鎖されたマンションで火災が発生した際に消防隊がマンションに入れなかったことが原因で住人10名が亡くなる事件が発生しました。このためにゼロコロナ対策への反対運動が激化し、中国国内では暴動が頻発しているようです。

 お国柄として、暴動は力で抑えることになると思われるので暴動と騒乱は一時的なものであると考えられます。それよりも深刻なのは工場の操業停止です。日本およびアメリカが中国国内に設けた工場の中にも操業を停止するところが増えています。Appleの製造拠点も操業停止に追い込まれ、iPhoneの生産に大きな支障が生じているようです。

 特に中国に進出しているアメリカ企業の業績悪化が懸念されたためか、NYダウは11月28日に大きく値下がりしました。アメリカ国内企業の業績悪化に対する懸念からドル安になり、やや円高になったものと思われます。

建築資材の価格および供給に対する影響

 中国は建築資材の大きな供給元です。水道部材、金属製品、ユニットバス、台所用品などの多くを中国に依存しています。

 中国の工場における操業停止が長期化すると、建築資材が供給されなくなるので納期が長期化します。また、在庫がある資材も価格が大きく上昇します。

 中国のゼロコロナ政策が続く限り、このまま円安が進行しても建築資材価格は高止まりしたまま推移することが予想されます。つまり、円高になっても建築資材については恩恵を受けられないことになります。

 ロシア産の材木は、ロシア国内に森林を保有している一部のパワービルダー(飯田GHD)が生産するものを除き、大半の輸入が停止しています。不足した材木を北米などから輸入できていることから材木不足は解消されたようですが、高値で推移しています。こちらもウクライナ-ロシア間の戦争が終結しないと価格が下がることは期待できません。

 建築資材の価格は当分の間、高値で推移しそうです。中国産の建築資材は、ゼロコロナ政策が終わるまで供給不足と高値が続くと思われます。