タマホーム社長が社員に“ワクチン禁止令”?

2022年7月21日

 これは大手のハウスビルダーで発生した、新型コロナウイルスのワクチン接種をめぐる「珍事」といえます。一つ間違えると会社が大きく衰退する原因になりかねません。文春オンラインの記事から引用します。

※掲載社の都合により元記事が削除され、リンクが切れることがあります。あらかじめ御了承願います。
※令和4年7月21日追記:元記事が削除されたのでリンクを外しました。
 タマホームは「記事の内容は事実と異なる」と主張していることを申し添えます。

「接種したら無期限の自宅待機」タマホーム社長が社員に“ワクチン禁止令”
「週刊文春」編集部2021/07/20
週刊文春 2021年7月29日号

 大手住宅メーカーのタマホーム(本社・東京都港区)で、玉木伸弥社長(42)が社内に事実上の“ワクチン禁止令”を出していることが「週刊文春」の取材で判明した。複数の現役社員らが社内資料やメールを基に証言した。

 今年7月上旬、玉木社長は、幹部らが参加するオンライン会議でこう訴えた。

「世の中がなんと言おうとも、ワクチン接種に反対です!」 

 約1カ月前の6月初旬、ほぼ全社員がオンラインで視聴した「経営方針発表会」ではこんな一幕があった。玉木氏が突然、「ワクチンを接種したら5年後に死にますからね」と口走ったというのだ。社員のA氏が明かす。 

「ギョッとしました。その後『5Gがコロナ感染を引き寄せる』という意味のことも言いました。まったく理解できず、不穏な予感がしました」 

 6月中旬には、玉木氏は幹部に対し「ワクチンを接種した場合は無期限の自宅待機」「(自宅からの社用)PCへのログインは禁止」などのルールを伝えたという。  

 ある支店に勤務する社員の親族・B氏が語る。 

 「ワクチンを打てば出社を拒まれ、それでも働きたければ『モデルルーム周辺の草むしり』や『配置転換』と言われ、閑職への異動がほのめかされるそうです。表向きは『打つか打たないかは個人の判断』とも言っているようですが、実質は『打つな』に等しい。持病があって早めに打ちたい人もいるのに、理不尽です」 

~以下略~ 

文春オンライン

 当然ですが、ワクチンを接種するか否かは個人の判断に委ねられており、接種すること、またはしないことを雇用主が強制することは許されません。報道の内容が事実であると、「接種しないことを強制した」ことになります。

 「接種しないこと」を社長が強制する行為は、パワーハラスメントに該当します。結果として、企業のガバナンスが適正に行われていない会社であると見做されることになります。

 街中の不動産会社は、自分の土地に新築の戸建住宅や新築のアパート・マンション等を建設したいお客様から、どのハウスメーカーに発注すれば良いかに関する相談を受けることがあります。このような事件が報道されると、土地のオーナーに対し、タマホームを推薦することがかなり困難になります。当分の間、タマホームの受注件数は減るのではないかと思います。

 世間の風潮として「社長が社員にパワーハラスメントを行う会社には発注したくない」と考える方が大半です。社長が社員にパワーハラスメントを行う会社を街中の不動産会社が推薦すると、推薦する不動産会社も信用を失うことになるので、推薦は困難になります。

 「社員を守りたい故の行動」と解する向きもあるようですが、「ワクチンを接種したら出社拒否、モデルルーム周辺の草むしり、配置転換」というのは行き過ぎであり、パワーハラスメントに該当します。また、賃金を支払わなければ労働基準法に違反する可能性があります。

 7月20日および21日に、タマホームの株価は大きく下落したとのことです。「社長がパワーハラスメントを日常的に行う会社」は投資家が最も忌み嫌います。売上げおよび利益の激減が容易に想定されますから、株価が値下がりしても当然です。

 それにしても、「ワクチンを接種したら5年後に死にます」とか「5Gがコロナ感染を引き寄せる」という情報の出所はどこなのでしょうか。前者についてはその根拠、後者については客観的に証明する研究論文を提示して欲しいと思います。大企業の社長が出所不明の陰謀論を信じ、企業の運営に反映させることは企業イメージとして最悪です。