「告知事項あり」イコール「事故物件」とは限らない

不動産物件の紹介図面に「告知事項あり」と書かれていることがあります。

「告知事項あり」と書いてあると、ほとんどの方は人が死亡した履歴がある事故物件を連想すると思います。そして「告知事項あり」の表示がある物件があったということで、事故物件に関する情報を紹介するポータルサイトなどに情報提供をする方がいらっしゃいます。

しかし、「告知事項あり」の物件の全てが「事故物件」ではありませんので、注意が必要です。もちろん、その物件で何らかの事件が発生し、人が死亡した可能性がありますが、その他の場合もあります。

「告知事項あり」とは「購入または借りることを検討される方には、知っていただきたい内容がある」という意味です。いわゆる事故物件であるとは限らず、人の死とは無関係な心理的瑕疵や物理的瑕疵、法律的瑕疵であることがよくあります。

無関係な事例はかなりあるので、以下に例示します。この他にも多くの例があります。

「告知事項あり」とされていても、人の死亡とは無関係である事例

裏山が崩れた場合に、土砂に飲み込まれる危険がある物件(土砂災害警戒区域)
建物の朽廃が著しく、数年以内には居住不適と見做される可能性が高い物件
過去に発生した火災により、建物の耐久性および耐震性が劣化している可能性が高い物件
近隣に居住されている方の間で、幽霊や妖怪がよく現れるという噂があるエリアにある物件
反社会的勢力(暴力団等)の構成員が同じ建物内に居住している物件
反社会的勢力(暴力団等)の構成員が過去に居住していた物件(襲撃される恐れがある)
物件の近くに反社会的勢力の事務所がある物件
近くに葬祭場があり、葬祭場に行き来する方が前面道路を頻繁に通行する物件
墓地が隣接しており、眺望の全てが墓地である物件
物件の真上、または前面道路の上に高圧電線が張られている物件
外見上は道路に面している土地であるが、前面道路と土地との間に「水路」の記載が公図上にある物件
(水が全く流れていない場合でも「河川」が存在すると見做され、建築不可の場合がある)
建築確認申請をしていない、いわゆる無届け建築物(取り壊し命令が発令される恐れがある)
野生動物による被害が頻繁に発生するエリアにある物件(猿、イノシシ、熊など)

ポータルサイトなどで、「告知事項あり」との記載がある価格や賃料が安い物件を見つけても、人が死亡した履歴があるとは限りません。疑問がある場合は、物件広告を掲出している不動産会社に問い合わせることをお勧めします。