都心における不動産価格の動向

現在、約2年前から続いていた東京都区内の山手線内および城南エリア(目黒区、世田谷区、品川区、大田区)における不動産の市場流通価格(いわゆるエンド価格)の急上昇が止まり、徐々に下がり始めている感があります。

とは言っても価格を急激に下げているわけではなく、大きく下がったエリアでも、今年の始めにおける価格から数%程度の値下がりに留まります。現時点では、ここから大きく下がる傾向は見られません。

需要と供給とのバランスによる価格調整が自然に行われた結果、現在の価格で落ち着いているのだと思います。新型コロナウイルスのワクチン接種が順調に行われることにより感染者数が減り、東京オリンピックが無事に開催されれば、このあたりで落ち着くのかもしれません。

しかし、ワクチン接種が行われても感染者数が減らず、新型コロナウイルス変異種の猛威により東京オリンピックが中止される事態に陥れば、不動産の市場流通価格は更に下がる可能性があります。今後の不動産売買価格の動向は全く見通せません。

世論の多くは東京オリンピックの開催中止を求めているようですが、中止した場合には国民が所有する不動産の価値も下落する可能性が高いことを理解しているのかが極めて疑問です。

しかし、オリンピックを中止すれば入国する外国人が減ることから、感染の抑制に資するというロジックも理解できます。

果たしてオリンピックは開催、中止のいずれになるのでしょうか?

オリンピックが開催されるか否かにかかわらず、今後は企業の廃業や倒産が増えることが確実です。多くの企業が運転資金の融資を無担保、無利息の条件により受けていますが、大半は返済期限が1年とされており、返済期限が迫っているからです。借金を返済できない企業は運転資金がショートすることから企業の活動が停止します。

その企業で働く方は解雇されるか、大幅な賃金カットをされることが避けられません。賃貸物件に居住している方は郊外の家賃が安い物件に転居しますので、都心の賃貸住宅における家賃は下がることが予想されます(というか、下げないと空室が埋まらない状況になると思います)。

新型コロナウイルス感染症が拡大し始めてから1年以上も経過しているのに変異種が現れて拡大し続けており、ワクチンが行き渡るまでは終息を期待できません。特効薬は、まだ出来ないのでしょうか?

言うまでも無く、経済活動が正常に戻るにはまだかなりの日時を要すると思われます。