東京の不動産、価格高騰はいつまで続く?

 東京都内では、特に土地と区分マンションの価格が短期間に大きく上昇しています。筆者の会社がある東京都目黒区で販売中の土地には、コロナ禍になる前の価格の5割増になっているものがあります。あり得ない、異様な価格高騰です。

 新型コロナウイルス感染症およびウクライナ-ロシア間の戦争により資材の輸入が滞りました。さらに円安による資材価格高騰により、新築戸建住宅および新築マンションの建設件数が激減し、価格が急騰しました。

 このため、中古区分マンションに対する人気が上昇し、中古区分マンションの価格も急激に上昇しています。

 最近、お客様から「この異様な不動産価格の高騰はいつまで続くのか。」という質問が増えています。この質問に対する回答は難しいです。1990年頃のバブル崩壊とは異なり、世界はグローバル化しているため、過去の知見があまり役に立たないからです。

 日銀の金融緩和はいつまで継続するか、円レートの変化、米国や東南アジア諸国の景気動向等も不動産価格の決定要因です。円安が続けば外国人が日本の不動産を購入しようと動きます。

 明確に言えるのは、不動産に対する需要がなくなり、不動産が一度に大量に売却されないと価格は下がらないことです。日本の場合、駅近等の利便性が高い不動産は限られています。既に購入し尽くされている感がありますが、売却に向けた動きはあまりありません。土地の所有者は、一度手放すと二度と手に入らないことを知っているからです。

 1990年頃に起きたバブル崩壊は、土地の購入(主に転売目的)に対する融資を強制的に禁止したことがきっかけです。しかし、現在は土地を転売して儲けようとしても買い手が見つからない状況です。土地の購入に対する融資を強制的に止めても、土地価格の大きな変動にはつながりにくいと思われます。

 つまり、バブル崩壊の際に見られた、全ての不動産が一斉に価格を下げるパターンは考えにくいと思います。

 東京の場合、ターミナル駅や急行停車駅に近く利便性の高い物件や山手線の内側にある物件は今後も価格が上昇すると思われます。高級住宅街の物件価格は現状維持で推移し、それ以外のエリアにある物件は徐々に価格が下がると考えられます。つまり、3つに分かれるのではないかと考えています。

 ただし、東京で大地震などの天変地異が発生した場合は、この想定とは異なる状況になると思われます。予めお断りしておきます。