キッチンユニットや照明器具が外国製の特注品で構成されたマンションを購入する際は要注意(売買物件)

本日は、室内の設備が、いわゆる「ヨーロッパ製キッチンユニット」であるとか、照明器具や浴室のユニットが「ヨーロッパ製の特注品」等であるマンションについて書きます。

室内に特注品の設備が多くあると、それだけで何となく魅せられ、購入意欲が湧く方は多いと思います。しかし、結論から申し上げると新築、中古を問わず、購入する際は要注意です。

ご承知の通り、長期間居住されている間にはキッチンユニットやバスタブ、トイレユニット等の水回り装備が故障することがあり、その際には修理が必要になります。また、製品寿命に達した場合は交換する必要があります。

ところが、ヨーロッパなどで生産された設備の修理部品は、国内におけるストック量に限りがあり、修理できないことがよくあります。製品寿命に達していなくても消耗品が手に入らないために、早期に新品に交換しなければならないことがあります。

新品に交換する際も苦労することがあります。例えばキッチンユニットですが、日本のキッチンユニットと海外製のそれとでは配管の位置が異なることがあります。

私が経験した例を書きます。このマンションにはイタリア製のキッチンユニットがあったのですが、長年使用していたことから傷みが激しく、明らかに製品寿命に達しており、交換するしかない状態でした。ところがこのキッチンユニットは、排水管を建物の壁の中に設けられている排水用配管に接続することを前提としていました。

このマンションは、当初からこのイタリア製の特殊なキッチンユニットを設置するために、排水用の配管を「壁の中」に設置したのです。製品寿命に達した後にキッチンユニットを交換することを全く考えていないのです。

日本の会社が製造するキッチンユニットのほとんどは、シンクの下から出ている排水管を床下に設置されている排水用配管に接続する仕様を採用しています。日本の会社が製造したキッチンユニットのほとんどは、シンクの下から出ている排水管を壁の中にある排水用配管に接続することができません。

最終的には壁の中にある排水用配管に接続できる日本製のキッチンユニットを探しましたが、無名の小企業が製造している一種類のみが適合し、しかも注文生産品とのことでした。このため、キッチンユニットの交換に何と2か月以上を要しました。

さらにこのマンションは、キッチン及び廊下の天井に、北欧製の特注照明器具が直付けされていました。器具も電球ソケットも特殊で、国内で売っている電球に交換することができません。

驚いたことに、電球をより明るくするために、電気を交流から直流に変換する装置が天井に入っていました。理論的には、同じ電圧の場合は直流の方が明るくなります。キッチンおよび廊下の天井の照明器具に供給される電流は全て直流でした。

しかし、これではLED電球はもちろん、電球型蛍光灯を付けることが出来ません。LED電球および電球型蛍光灯は、必ず交流である必要があります。照明器具は天井に直付けされていたため、天井を壊し、電気配線を電気工事士にやり直してもらい、全ての照明器具を交換する必要がありました。

浴室も特注品のユニットバスでした。問題はドアでした。ドアの周囲に付いている防水ゴムパッキンが破れていたことから交換する必要がありました。ところがサイズや仕様が特殊であり、交換できる防水ゴムパッキンが見つかりません。水道部品の専門業者に手配してもらいましたが、業者仲間を50件以上当たっていただき、やっとのことで探してもらいました。

このゴムが次に破れた際は、浴室ユニットバスを全て交換する必要があると業者から言われました。日本の会社が製造したものであれば、部品交換は容易です。しかし、海外製の特注品である場合は部品を入手できないことがあり、この場合には全交換が必要になります。不経済であることは申し上げるまでもありません。

室内の設備が特殊な特注品であっても、そのこと自体は必ずしも重要事項説明における説明対象ではありません。内見の際は、水回り設備と照明器具のチェックを強くお勧めします。海外製の特注品を採用している場合は要注意です。

個人的な見解ですが、設備が海外製の特注品だらけであるマンションを購入することは新築・中古の別を問わず、お勧めしません。