日銀総裁の発言が原因で急激な円高と株価暴落が到来

 黒田日銀総裁が12月20日に「長期金利の変動幅を0.5%に上げる」と発言しました。「実質的な利上げがこれから起きる」との観測からか、猛烈な勢いでドル売り円買いが行われました。1ドル137円前後で取引されていたものの、132円まで異常に値上がりしました。

 株価も大暴落し、日経平均株価27,300円前後であったものが20日の夜間取引(先物)価格は260,400円前後という有様です。

 FXや株式投資を行っていた方におかれては誠にご愁傷様です。巨額の損失を被った方がどれだけ出たのかを考えると空恐ろしくなります。日米の金利差による差益をこれからも甘受できると考えていた投資家は、阿鼻叫喚の状況でしょう。 

 官僚のトップによる一つの発言だけでこれだけの円高と株価暴落が起きる世の中であり、これでは安心して株式投資を行うことは極めて困難です。国は株式投資を積極的に推進する政策を執ろうとしていますが、このようなことが何回も起きると株式投資を止める方が続出することが避けられません。

 また、かなり多くの方が株取引で得られる収益で不動産を購入することを予定していると思われますが、今回の暴落で多額の財産を失い、不動産の購入を諦めなければならない状況に追い込まれた方が多くいらっしゃることと思います。

 株の運用益、それも日本株の個別銘柄を短期売買することで得られる運用益で不動産を購入するというプランは、これからは成り立たなくなるかもしれません。

 それにしても、ただでさえ慌ただしくなる年末のこの時期に猛烈な円高と株暴落が訪れることを予想できた方はほとんど誰もいなかったのではないかと思います。例年、年末は上昇相場になることが通常だからです。

円高になれば資材価格や原油価格は下がるはずだが...

 今回の円高が一過性なのか、そうではないのかはもう少し見極める必要があります。円高になれば資材および原油価格が下がります。

 この円高株安が来週(26日以降)も続くようだと、一過性では済まないかも知れません。