困った相談(その28、区分マンションの設備が外国製の特注品)

 ファミリー向けの中古区分マンションを筆者の会社で購入されたお客様から、システムキッチンの流し台がかなり汚なくなった上にキッチンユニットの扉が壊れて開閉できなくなったので、システムキッチンを丸ごと新品に交換したいという相談がありました。

 システムキッチンはマンションが新築された当時から据え付けられていたものであり、イタリア製の特注品でした。問題は排水管の仕様です。日本製のシステムキッチンでは、排水管を床下の排水口に接続します。ところがこのイタリア製のシステムキッチンの排水管は壁の裏側に設けられた排水口に接続する仕様でした。

 明らかに、この特注品であるシステムキッチンを据え付けることしか想定していないのです。システムキッチンの下はモルタルで固められていることから、新たな排水管を床下に設けることはほぼ不可能です。すると、日本のJIS規格に沿って造られたシステムキッチンを据え付けることは非常に困難です。

 同じシステムキッチンを手配できないかを確認したところ、この製品の製造は既に終了しており、流通在庫は存在しないとのことでした。類似品を探すとしても特別な手配が必要であり、デザインやメーカーを選択できない上に半年~1年近くの納期を要するとのことでした。これではお客様が納得しません。

 最終的には壁に設けられた排水口に排水管を接続できるように既製の日本製システムキッチンを改造して据え付けましたが、排水管の改造が可能なシステムキッチンを探し、改造方法を検討するのに約1か月半を要しました。改造作業はキッチンの据え付け後に現場で行うことにしたのですが、追加の改造部品が必要になり、キッチンを利用できない期間が発生しました。

 この案件を通じ、JIS規格に適合していないシステムキッチンが設置されているマンションは要注意であることを学びました。水道業者には並々ならぬ尽力をしていただき、感謝しています。

 システムキッチンがヨーロッパ製の特注品であることを謳う中古区分マンションを購入する際には、特段の注意が必要です。水道業者によるとトイレ、バスルームの水道栓およびシャワー設備、浴槽等も注意が必要とのことです。

※相談者のプライバシーを考慮し、一部アレンジした箇所があります。