中古物件を購入する際は「軟弱地盤」に注意

 中古の収益用不動産(1棟アパート、マンションなど)、自己居住用目的の中古戸建住宅を購入する際に見落としがちなのが地盤の強度および以前に建っていた建物の杭です。

 中古物件を購入する方、特に建築後30年以上が経過している物件を購入する方の多くは、将来において建物の寿命が到来した際に再建築するか、または更地にして売却することを考えていると思います。

 しかし、地盤が軟弱な場合には杭打ちをしないと建物を再建築出来ないことがあります。ご承知の通り、地盤が軟弱であると大地震の際に土地が液状化し、建物の倒壊や損壊を招きます。このため、このような土地に建物を再建築する際には杭打ちをしなければならず、建築費用が増加します。

 また、更地にした後に建物の杭を引き抜けないことがあります。この場合は、新しく建築する建物の為の杭と重ならないようにする必要があり、調査および建物設計の費用が増加します。

 これらの理由により地盤が軟弱な土地、特に杭が地中に残存して引き抜けない土地の査定価格は低くなります。しかし、この点を考慮せず、軟弱地盤ではない土地であるとして値付けされている物件が散見されます。特に中古戸建住宅の場合は、軟弱地盤であることを売主も知らないことがあります。

 地盤が軟弱の場所の多くは川または水路の近くです。このような土地における地盤は川の上流から流れてきた小石や砂礫で構成されていることがよくあり、地盤が軟弱です。

 川幅が30センチメートル未満の小規模な河川、雨が降った際しか水が流れない水路でも、数十年前は湧水池から湧き出た大量の水が流れる河川であった場合がよくあります。

 また、川は年月の経過と共に移動します。洪水対策として川の位置を人為的に変えた場所もあります。川から100メートル以上離れたエリアでも、100年前は川底であったという場所が多くあります。

 中古建物を購入する際は、高値づかみを避ける為に法務局から「地図に準ずる図面」(オンラインによる閲覧も可能、有料)を取り寄せて確認する、近所の方から聞き込みを行う等を行うことをお勧めします。

 地図に準ずる図面において、購入を検討している土地の近くに「水路」の表記がある場合は、現況として水路が存在しない場合でも注意が必要です。