緊急事態宣言発出中の地域では、オーナー様は我慢のしどころ

今年の繁忙期は、コロナ禍の影響により賃貸物件に対する内見の件数がかなり減りました。

「リフォームやハウスクリーニングをしっかり行い、競合する他の賃貸物件の家賃とほぼ同額に設定しているにもかかわらず、この時期になってもなぜ入居者が決まらないのか全くわからない。」との悲鳴があちこちのオーナー様から聞こえてきます。

内見希望者が少ないということで、客付けを依頼している不動産会社に猛烈なクレームを入れたり、不動産会社を変えれば入居者が早く決まると考え、依頼先の不動産会社を変えるオーナー様がいらっしゃいます。しかし、猛烈なクレームを入れたり不動産会社を変えたことから内見希望者が増えたという話はあまり聞こえてきません。

リフォームやハウスクリーニングなどを行い、入居希望者をお客様としてお迎えする態勢が整っているにもかかわらず、入居者が決まらない物件が増えています。空室物件を抱えるオーナー様は、我慢のしどころです。

原因は、社会状況の激変
その理由ですが、一年前と異なる社会状況であることが挙げられます。

1.リモートワークが激増し、企業の廃業や賃金カットが増加
都内では賃貸物件の家賃が高額であることから、勤め先の仕事をリモートで行える方は都内の賃貸物件を退去し、家賃が安く、かつ広い郊外の物件に転居しています。

また、勤務先を解雇される方が増えています。特に飲食店では利用者がかなり減っていることから、従業員の解雇や賃金カットに踏み切るところが増えています。従業員は都内の賃貸物件を退去しますが、都区内の物件における家賃は高額であり、退去後の物件に新たに入居しようとする方は少ないのが現状です。都区内では、若い方が急激に減少している感があります。

2.緊急事態宣言とまん延防止等重点措置
コロナ禍が終息せず、感染力が強い変異ウイルスが登場したことから東京都や大阪府、兵庫県、京都府に緊急事態宣言が発出され、東京都に隣接する神奈川県、千葉県、埼玉県における一部の市区町村ではまん延防止等重点措置の対象地域に指定されました。

内見の際に感染することを恐れていることから賃貸物件の内見希望者が激減しています。

3.内見時における身分確認の徹底要請(東京都)
内見時における強盗事件が度々発生していることから、不動産会社は警視庁から内見希望者の身分確認を徹底するように依頼されています。内見を実施する際には、不動産会社において運転免許証等の身分証明書を確認しなければならず、提示を拒むお客様の内見はお断りすることになりました。軽い気持ちで内見する方はいなくなると思います。

また、東京都以外の各道府県でも、警察から同様の依頼が行われるかもしれません。

入居者を早く決めるために、オーナー様が最低限行わなければならないこと
リフォームやハウスクリーニングを行っていない物件、安全設備の故障を放置している物件は、即時に入居希望対象の候補から外れます。「原状回復やリフォームは入居者が決まってから行う」とか、「エレベーターや玄関オートロックの修理はお金が貯まってから行えば良い」として維持管理を怠る賃貸物件がかなり多いので驚かされます。

「不動産屋は室内がどのような状態でも客付けをする義務がある」とか「設備の修理やリフォーム、ハウスクリーニングは入金してから実施する」等と言われるオーナー様がいらっしゃいます。しかし、入居するのは内見をされるお客様であり、不動産会社ではありません。

現在は、空室の賃貸物件が異様に激増しており、設備の修繕やリフォーム等を完了した状態の空室が多くあります。設備の修繕やリフォームを契約後に行う物件にあえて入居する方はいません。認識を改められないオーナー様の物件は、賃貸市場から退場させられることになります。

ポータルサイトでも室内写真を掲げるところが増えています。設備の修理やリフォーム完了後の室内写真が掲げられている物件に対する引き合いは多いです。

部屋のリフォームおよびハウスクリーニングが完了し、入居希望者をお客様としてお迎えする態勢が出来ていることは、入居者を募集するための大前提です。