東京の目黒区における不動産の特性(その4、店舗)

目黒区、または東急目黒沿線に店を持ちたいという問合せが時々あります。目黒区内に店舗を構える場合の賃料等について書きます。また、コロナ禍であることから飲食店の新規開業に関する相談は激減していますが、コロナ禍が収束した場合に店舗賃料がどのようになるかについても書きます。

目黒区を通過する鉄道の駅における乗降者人数は、以下の通りです。
https://www.tokyu.co.jp/railway/data/passengers/

2019年、東急東横線における各駅の乗降者人数
渋谷駅 472,709人 特急・急行停車
代官山駅 31,241人
中目黒駅 196,777人 特急・急行停車
祐天寺駅 32,013人
学芸大学駅 77,850人 急行停車
都立大学駅 49,045人
自由が丘駅 98,557人 特急・急行停車

2019年、東急目黒線における各駅の乗降者人数
目黒駅 286,145人 急行停車
不動前駅 31,573人
武蔵小山駅 53,193人 急行停車
西小山駅 37,342人
洗足駅 14,898人
大岡山駅 21,759人 急行停車
奥沢駅 14,010人

2019年、東急大井町線における各駅の乗降者人数
大岡山駅 29,367人 急行停車
緑が丘駅 10,365人
自由が丘駅 57,603人 急行停車

店舗を開店する場合、鉄道駅の乗降者人数が多い駅の近くに構えることが売上アップに寄与する業種が多いです。

乗降客の数は、東横線沿線の方が、目黒線沿線よりも多いです。しかし、東横線沿線の駅近く、特に特急または急行が停車する駅近くの商店街における店舗の賃料は猛烈に高額なところが多いです。月賃料が1坪5万円を超える店舗は多く、保証金も500万円を超えるところが多いです。

どのような商売をしたら利益が出るのか、もう誰にもわからない位に賃料が高額です。個人のお客様から駅前商店街にある貸店舗の探索を依頼されても、お客様から開業後の採算が合わないとして敬遠され、成約できないことが増えています。

現状は、大企業がイメージアップを図るためのアンテナショップとして開店しているところが大半です。店舗単独では大赤字ですが、郊外の店舗で稼いだ利益をつぎ込むことにより会社全体の帳尻を合わせているところが多く見受けられます。数年前までは個人の方が店舗を借りて商売を行っているところがありましたが、現在ではほとんど消滅しています。

主に広さ20坪前後の空き店舗を探している方からお問い合わせがありますが、この広さの空き店舗における賃料は、東横線の特急・急行停車駅近くにある商店街における1階の店舗で賃料90万円以上、目黒線の急行停車駅近くにある商店街にある1階店舗の場合で70万円以上のところが多いです。東横線・目黒線の各駅停車しか停車しない駅近くの商店街における1階店舗でも賃料は55万円以上のところがほとんどです。これでは個人の方が店舗を借りて事業を展開することは極めて困難です。

しかし、現在のコロナ禍により主に飲食店および物販店が閉店しています。現在営業しているところでも来年3月に閉店することを決めている店が多くあります。店舗の場合、退去予告を3~6か月前に行わなければならないことが賃貸借契約に定められていることが多いので、既に3月末日に閉店する店舗の話も聞こえてきています。

コロナ禍の収束は、かなり先になりそうな気配がします。今後も飲食店の閉店が続いた場合、新たな入居テナントはなかなか決まらないことが容易に想定できることから、現在の異様な店舗賃料は引き下げられるのではないかと予想しています。

しかし、貸店舗のオーナーは固定資産税および都市計画税を支払います。さらに、建物を建築する際に事業用ローンを利用している場合はローンの返済をしなければなりませんので、貸店舗の賃料は、最高でも2割程度しか下がらないと予想しています。