区分マンションの売値は内部の状態で決まる

 区分マンションの査定を不動産会社などに依頼すると、電話1本またはメール1通だけで机上査定する会社があります。また、いわゆる一括査定サイトを利用すると、根拠が不明ですが多くの場合はその場で価格を提示してきます。

 筆者の会社にも自身が住まわれている区分マンションの価格査定依頼がありますが、机上査定は行わないことにしています。室内を確認しないと正確な査定は出来ないと考えているからです。

 大切に使用されていた方のお部屋と乱雑に使用していた方のお部屋とでは査定価格に大きな開きがあります。最も大きな差が出やすいのが水回りと床です。床板のたわみや凹みがある、システムキッチンが壊れている等の物件に対する購入希望者はなかなか現れません。

 東京都23区内、神奈川県横浜市および川崎市では室内が荒れている、設備が故障している物件は誰も購入してもらえません。購入した時点において、そこそこ快適に生活できるレベルでないと購入の対象外になります。

 室内の損傷箇所が複数にあり、設備が壊れている区分マンションを売却する場合は、室内をリフォームする必要があります。しかし、不動産業に携わらない方が業者にリフォームを依頼するととても高く付きます。このため、所有者が自らリフォームすることは少なく、不動産会社等に買い取ってもらうことが一般的です。

 ところが現在、資材価格が猛烈に上昇しています。不動産の価格には相場があり、リフォームしても売値には上限があります。リフォーム後に再販する不動産会社が利益を確保するためには資材価格の上昇分を買取価格から差し引くことになります。

 このため、室内が荒れている、または設備が壊れているお部屋の買い取り価格は以前よりかなり安くなっています。新型コロナウイルス感染症が蔓延する前における買い取り価格は上限価格の8割程度でした。しかし、現時点ではそれが約7割まで下がっています。

 区分マンションにお住まいの方が、自宅を不動産会社等に売却して買い替える場合、売却価格は以前よりも安くなります。新しい物件を探される場合は、この点に注意する必要があります。

 資材価格は、円安が続く限りまだまだ上昇する可能性が高いです。コロナ禍の前とは状況が大きく異なるので要注意です。