土地を購入する際の重要事項説明における注意点(その2)

※昨日投稿した内容の続きです。

6.私道の持分
 前面道路が私道の場合、持分の有無が問題になります。私道における掘削工事を行う場合は、私道の所有者全員の承諾が必要です。ガス管、水道管、下水管の埋設工事、引き込み位置の変更を行う場合は、その都度全ての所有者に許可を求める必要があります。

 前面道路が私道であるにもかかわらず、私道の持分がない土地があります。この場合、持分がないことから道路掘削許可を求めても許可をもらえない、自動車の通行を認めてもらえない等の不利益を受けることがあります。

 また、私道の持分を取得した場合には道路の維持管理に対する費用を負担する必要があります。例えば道路の舗装費用、電柱の敷設や交換費用等も私道所有者が負担することになります。

 私道付きの物件を購入した直後に私道の改修工事を行うことになり、多額の費用を請求された事例もありますので、私道の持分が付随する土地を購入する際には持分の割合、および価格がが適切かについて確認する必要があります。

 特に私道の持分が付随する土地を購入する際には、私道部分の土地価格をどのように定めているか、および価格が妥当であるかについて、重要事項説明書を確認する必要があります。

7.周辺の環境
 重要事項説明書に、近くにいわゆる「嫌悪施設」がある旨が記載されているかを確認する必要があります。主な嫌悪施設としては葬祭場、墓、病院、コンクリート工場、騒音を発する工場、反社会的勢力の事務所、家畜の飼育場等があります。

 嫌悪施設がある場合、その内容により販売価格に反映されているかを確認することをお勧めします。法令により、これらの嫌悪施設の存在を売主が知っている場合は、売主は買主に告知しなければなりません。存在を知りながら告知せずに売却した場合、売主は買主より損害賠償を請求されることがあります。

8.地目
 地目が「田」「畑」などの農地である場合、地元の農業委員会が許可しないと売買が認められません。許可を得られる要件は、買主が農業従事者であることです。農家を営む意思がない方は、購入目的が自宅の建設であっても購入できません。

 「山林」である場合は、保安林としての扱いを受ける樹木がないかを確認しておく必要があります。

 地元の不動産業者が仲介を行う場合であれば、これらのことを当然知っています。しかし、郊外の土地を都心の不 動産会社が仲介する際には見過ごされることがあります(もちろん、あってはならないことです)。重要事項説明の際に、地目が「田」「畑」「農地」「牧場」「保安林」等の場合は要注意です。

 その他にも住宅地として購入する予定の土地における地目が「山林」や「雑種地」であることがあります。この場合は、建物の建築を開始した後に土地の地目変更に関する手続きを土地家屋調査士に依頼します。

9.借地である場合
 土地賃貸借契約の種類、契約期間、地代、更新料、借地権料等がきちんと記載されているかを確認します。これらの内容は重要事項説明を受ける前に取り決めることがほとんどですが、重要事項説明書に間違いなく記載されているかを確認します。

10.法令上の制限、警戒区域
 調査漏れにより、重要事項説明書に記載されていないことがあります。特に見過ごされやすいのは地域の条例による制限です。

 土砂災害警戒区域や津波災害警戒区域に該当するか否か、浸水時における浸水の有無と程度(ハザードマップ)については重要事項説明として説明することが必須とされています。